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釣る前に、食べる前に、カッポレという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、カッポレという魚を知ろう!

カッポレ(スズキ目アジ科ギンガメアジ属)。国内では小笠原諸島、トカラ列島、琉球列島、尖閣諸島に多く生息。銭州が本種の北限かもしれない

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カッポレ(スズキ目アジ科ギンガメアジ属)の生態

銭州が本種の北限かもしれない

伊豆半島や駿河湾、三重県尾鷲でも見つかってはいるが、それは「発見」であって生息しているわけではない。

国内では小笠原諸島、トカラ列島、琉球列島、尖閣諸島に多い。

今回の主役が釣れた銭州は本種の北限と考えてもいい、と思っている。
 
動物学者、脇谷洋次郎が1924年頃小笠原で得たのが、魚類学的には国内初の固体だ。

ただ、標準和名は図鑑や分類の書籍にはなかなか登場しない。

日本魚類学の父、田中茂穂が1950年代にカッポレとして図説に取りあげているのが最初だと思う。

当時、国内では非常に珍しい魚だったために、なかなか和名がつかなかったようなのだ。

カッポレの値段は?

東京都内の市場に本種が入荷するようになったのは、1970年代になり東京と小笠原の、定期便の運行が始まってからだ。

小笠原は本種の水揚げでは国内随一だと思われることからも、東京都の魚なのだ。
 
東京の市場には主に、小笠原から入荷してくる。

船便なので鮮度的にはイマイチで1㎏あたり卸値1500円前後しかしない。

念のために市場人に問い合わせたら、今回の鮮度のいい1kgサイズなら1kgあたり卸値3000円はするとのことで、今回の主役銭州で揚がった1kgは1尾卸値3000円だ。

カッポレの寿司…これが、秘密で内緒のあれ!

都心で打ち合わせをしていたら、ボクと同い年の編集者が、「ワンサカ~♪死んだね」
 
夏が来ると、小林亜星のあのメロディが自然と浮かんで来るのは、五十年代以前に生まれた全員だろう。

「なんだか、淋しいね」

数日後の『市場寿司』、たかさんも亜星メロディを口ずさんでいた。

「まだつけられるよ」
 
午後二時をとうに過ぎている。

すし飯も、近所の釣り師、蛸さんが伊豆で釣り上げた、小アラも、なくなっているだろうと諦めていたのだ。
 
ボクが来るのを待っていたかのように、目の前に小アラの握りが一かん、卵焼き二切れに濃いお茶。

「これにて本日の打ち止め~」
 
相模湾の小アラは実にうまかったが、これじゃ腹の虫が治まらない。

「ふたりでラーメンといきますか」
 
なんて話をしていたら、宅配便の運転手さんからケータイがきた。

着払いの荷物が来ていたのだ。
 
押っ取り刀で帰宅したら、鹿児島からで、皮の黒い魚のフィレと大きな中骨が入っていた。

奄美大島で揚がったカッポレだった。
 
本体が大きすぎたようで、

「送料だけで魚は進呈します。仕立てたのはウチの孫なんで、なんか気になったら言ってください」
 
フィレになった状態なのに重さが六キロもある。釣りを再開したばかりなので、思わず奄美に釣りに行きたくなった。

カッポレの体形からして、さぞや釣り味もよろしかろう。
 
久しぶりに宵の口酒の肴に刺身を造る。実にうまし、酒が進む。

もちろん、ろんろん、りろん♪ だ。
 
さて、数日後、銭州に行った市場の釣り名人、クマゴロウのクーラーに不思議な魚が入っていた。

だれが見てもダツなのだけど、初めて見るダツだった。

歯の形を見たり、鰓に手を突っ込んで触ったりして調べたら、なんとボク的には超弩級の珍魚、ヒメダツだったのだ。
 
大量のウメイロ、メガネハギ、ナメモンガラにアカイサキ、アカハタと銭州らしい魚が並んでいる。

物欲しそうな顔をして立っていたら、クマゴロウが雑多な魚を袋に放り込んで、ほいよ、と持たせてくれた。
 
中に一キロくらいのカッポレが入っていた。

銭州でカッポレ、当たり前でしょ、と思うかも知れないが、実は伊豆諸島にはあまりいない。

ちなみに前回の奄美大島のも、珍しいので送ってくれたのだ。
 
あまりにも慌ただしい日だったので、翌日の昼下がりに『市場寿司』に持ち込んで。

「半身全部つけてよ」とお願いした。

まな板に向かって、いろいろ考えて、たかさんがバーナーを手に取り、腹身をあぶる。
 
そのまま生を二かん、あぶりを二かん、これが実にうまい。

脂が均等に身に入り込んで微かに白濁していて甘味がある。

炙った皮目の味など文字に出来ないくらいだ。

「昨日ウチでも刺身にしたんだけど、奄美のよりも脂があるよね」

「奄美大島と銭州だとどっちが北かな。だいたい魚は北がいい」

「銭州の方が遙かに北だね。ときどき釣れるそうだから北限かもね」
 
口直しに河童巻きをつまみ、「たかさん、宵の口の酒のつまみに、例の、秘密で内緒のあれ作ってよ」

「ダメだって」

「そこをなんとか」
 
たかさんがいやいや作ってくれたそれは、ボクが名づけ親の「豪海ぶつぶつ丼」だ。

カッポレの生とあぶったものを小さくサイコロ状に切り、干瓢、がり、キュウリなどと一緒にすし飯の上に乗せた、いわゆるちらしずしなのである。
 
手間がかかるので、作りたがらないのだけど、食べたら最高だ。

「絶対に内緒だからな」

「は~い!」

以上の記事は「つり丸」2021年7月15日号の掲載記事です。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

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