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釣る前に、食べる前に、カナガシラという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、カナガシラという魚を知ろう!

カナガシラは、カサゴ目・ホウボウ科に分類される魚。ホウボウに似た魚で、ホウボウと同じく食用に漁獲される。北海道南部以南から黄海、東シナ海、南シナ海まで分布し、水深50-300mほどの砂泥底に生息する。

カナガシラ(スズキ目ホウボウ科カナガシラ属)の生態

亜熱帯域をのぞく北海道~九州の沿岸、水深40~340mの砂地に生息している。
日本各地で標準和名のカナガシラと呼ばれている。明治末から昭和初期に出来た倉場富三郎(有名なトーマス・グラバーの長男)の『日本西部及び南部魚類図譜』には「きぬかながしら」で出ている。山形県酒田市では「金(かね)」、福島県いわき市では「金と(きんと)」と、「金」がつく呼び名が多いのは、頭部が金属のように硬いからだ。呼び名に「金」がつくために長崎県では「金にあやかる」といって節分のときに食べると金運が上昇するとされている。また上質の白身で、日本各地でお食い初めの魚になっている。現青森県にあった津軽藩では上級武士しか食べられない魚だった。

カナガシラの値段は?

この魚、高度成長期までは決して安い魚ではなかった。上品な白身で脂っぽくないために高級とまではいかないが、なかなか庶民の食卓に上らなかった。それが近年の脂嗜好のためか、淡泊な味の本種の値段は安値で安定している。1㎏あたり卸値800円前後。平均的な大きさの300gサイズで240円くらいしかしない。現今の脂嗜好は少々行き過ぎの感が否めない。たまにはこの上品な白身もいいと思うけどなー。

「カナガシラ」の寿司…僅かに口の中でトロリ。魚らしいうま味も豊か

新年を迎えたと思ったら、あっと言う間に師走である。

「今年は家内安全だったし、若い娘にはモテモテ、パチンコも勝ち越しだった。店もそこそこ繁盛したけど、やっぱり師走って寂しいなー」

「若い娘は違うでしょ。たかさん、ファンの年齢層ごまかしてない」

さて昼下がりの『市場寿司』で脳天気なたかさんと、こんなことを話していたら、淡路島の離れ小島で、日本漁業発祥の地とされる沼島から「マダイは不発でした」とケータイが入る。年の終わりと初めはやはりマダイだろうと、お願いしていたのだが、海が荒れて漁に出られなかったようだ。今年は異常気象続きだった。師走になっての太平洋側の大荒れも普通になってきている。

「マダイがダメなら今日持って来たこれで、いいんじゃない」

「こんな地味な魚はダメでしょ」

「だってさっきあんなにうまい、うまいって連発してただろ」

ネタケースに入っているのはカナガシラ。山形県酒田市の魚屋さんが、「これ以上のものはありません」と送ってくれたものだ。

「関東じゃあ、ただの総菜用の魚だからね。華やかさに欠けるよ」

「でも赤いきれいな魚だよ」

二〇一五年、たかさんは間違いなく大吉の年だった。ボクの方は全般に低迷していて大凶とまではいかないが、どちらかというと凶だ。

師走になってカナガシラの入荷が増えた。その上、三重県の釣り師が「これなんですか?」と送って来た画像がこれまたカナガシラだ。この画像を『市場寿司』の常連で釣り師のナミさんに見せたら「これホウボウじゃないですよね。初めて見る魚かも」と言う。考えてみると、ボクも釣り場では一度も見ていない。あまり釣れない魚なのか。

なんだかカナガシラが頭から離れなくなってしまった。

師走なので我が家でも少しずつ物を整理しはじめている。膨大なメモ帳を斜め読みしていたら、長崎市築町市場の女性の言った言葉を見つける。店で見つけたイゴダカホデリ(カナガシラと同属)を「金運の上がる魚だとする」とある。「似たような魚は全部同じだ」とも。ついでに長崎市の郷土資料をひもとくと「節分にカナガシラを食べると金運が上向く」とあるではないか。

これならマダイの代わりに年末年始にカナガシラもありかもしれない。年末、しめの握りもカナガシラでいこうではないか。

また旅に出て、久しぶりの『市場寿司』ののれんをくぐると、ネタケースに、待ってましたとばかりにカナガシラが置いてあった。

「カナガシラ二かん。すだち塩で」

とてもきれいな白身で、握った風情がまことにいい。口に放り込んですぐ甘味がくるのは、脂がのっているせいだろう。わずかに口の中でトロリとする。そして魚らしいうま味も豊かだ。後に残るすだちの香りも爽やかでいいんだなー、これが。

追加の二かんはわさびと生じょうゆでつまむがこれもいい。

「たかさん、長崎では金運の上がる魚だっていうらしいよ」

「なぜです」。隣に座る常連さんがきくので、カナガシラの“かな”は漢字を当てると“金”になるため、「金にあやかる」として珍重するらしい、などを話してあげる。

「金運上昇、家内安全、災いのないように、若い娘にもてますように」

といって、たかさんも一かん。

「たかさん、金運には御利益があるかも知れないけど、恋愛運ダメだ」

その日、ネタケースのカナガシラがあっと言う間に売れてしまった。

「御利益は金運だけなのをお忘れなく。ねえたかさん。二〇一六年はいい年でありますように」

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2016年1月15日号の掲載情報です。

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