昭和時代から経験のあるアカムツ釣りに久しぶりに釣戦!
本格的な秋の訪れを待っていたかのように「波崎沖カンネコ根のアカムツが好調」の情報が飛び込む。
波崎港「浜茄子丸」のHPを覗くと、数もさることながらなんと50㎝オーバーの特大が今期すでに2匹も取り込まれているではないか。
波に乗り遅れてはいかん!とばかりに釣行を決め、深夜の東関道をひた走り波崎港へと向かった。
カンネコの中でも沖目のポイントでスタート

当日の釣り客は10人。中乗りさんの分も含め左舷に6本、右舷に5本の竿が並んで出港した。
北東の風が7~8m、沖からのウネリも入る中、1時間半近く掛けて釣り場に到着。
どうやらカンネコの中でも沖目のポイントのようだ。
「水深は138m。徐々に深い方に流れて行くと思います」で第一投。
私は下バリに青染めのサケ皮とホタルイカ、上バリにサバタンとホタルイカを装餌した仕掛けを投入した。
風とウネリで少々釣りづらいが120号のオモリは比較的素直に着底、潮はそれほど速くないようだ。
砂泥地独特の埋まったオモリをズボッ!と引き抜いてから再度底ダチ取り直し、まずはオモリトントンで様子を見る。
一流し目から船中にアタリは出て30㎝級と小型ではあるが何匹かが取り込まれる好スタート。
開始30分後には40㎝級の良型も釣れ上がった。

船上は平日といえどもこのとおり。「浜茄子丸」は人気船だ
中乗りしている若船長は1本バリで次々とあげていく
しかしその後はアタリが間遠くなる。常連さんからは、
「今日はアタリが遠いなー。まったりタイムが長いよ」との嘆き節が早くも聞こえる。
たしかに好調時のカンネコ根からすればアタリは少ないが、まだアカムツが幻扱いされていた昭和の時代からアカムツ釣りをやっていた身からするとこの程度は良くある話。
なんせ当時は少人数の仕立て船だったとはいえ「ボウズ当たり前、ヘタすりゃ船中ボウズ」なんてことも多かったのである。
そんなセピア色に染まる昔話を思い出している中、安定してアタリを出しているのが中乗りをしている若船長。
「自分は誘いは入れないですよ。コツ? う~ん丁寧に底をキープするくらいかなー」と言いつつ、ゲストも含めアタリの数が他の人の倍ほどもある感じ。
しかもオマツリを敬遠してか1本バリ仕掛けなのだから恐れ入る。
ちなみに付けエサは、「今日はたまたまカツオのハラモとホタルイカの抱き合わせですけど、普段はホタルイカだけですよ。それで十分だと思いますけど」とのことだ。
そんな話を聞いた後右舷側で撮影をしていると、若船長が竿を出している左舷胴の間周辺で歓声が上がる。
駆け付けると取り込まれ横たわるアカムツのデカイこと。
なんと50㎝ジャストの特大アカムツだった。
ここまでに船長からは、「アカムツが食ったら竿を立てて巻いてよ。竿を下に向けて巻いているとバレちゃうよ」とのアドバイスがあったが、もちろん若船長だけに抜かりはなかったはずだ。
その後もポツリポツリながら40㎝級の良型まじりでアカムツは釣れ続いた。
時にはサバに邪魔されることもあったが、そんな時には船長から、「あんまりサバがうるさいようなら上のハリ外して1本バリでやって」のアドバイスもあった。

エサはこの真空パックされた鮮度がよいホタルイカが配られる

付けエサは好みだがシンプルなエサが最近の流行
残り50m付近でもククッ!「小型ながらも本命か?」
さてさてそんなこんなで船中一人また一人とボウズを脱出していく中、取り残されたのが何を隠そうこの私。
こうなると昭和の時代には…なんて言っていられない。
捨て糸の長さを変え、マシュマロボールの色を変えたり取り外してみたり、ハリもホタ針から軽めのムツバリへと替えてみたりもしたが全くダメ。
らしきアタリは何度かあったが、サメにウバ食いされたかハリスが切れて上がって来たり、残り20mで隣人氏とオマツリで外れたり、とこの日はとことんツキがなかった。
そして「この流しで時間になります」と船長からのラストコール。
諦めムードの中私の座る左舷側の何人かに「らしきアタリ」が出た。
そして私の竿にもヒット! トモから順に3人まではアカムツが上がって私も期待十分での巻き上げ。
引き込みはやや弱いが鋭さはあり、残り50m付近でもククッ! と来て「小型ながらも本命」を確信し仕掛けを手繰る。
そして見えて来たのは赤い影。
しかし赤は赤でもちょっと色見が違う良型のウスメバルでギャフン。
腰を抜かしそうになるのを苦笑いで堪えての終幕となった。
当日の釣果は0~5匹。5匹は若船長他1人で、ゲストにはクロムツ、アジ、ウスメバル、ムシガレイだった。
ヤケ酒のツマミとなったウスメバルの刺身は「銚子以北のウスメバルは絶品」の個人的思いの正しさを再確認させてくれたが、負け惜しみであることは否めない。
カンネコ根のアカムツは10月中旬頃ベストシーズンを迎えるはずで、リベンジを果たさねばと強く思う今日この頃である。
【波崎沖カンネコ根】 アカムツ 釣行レポート
数釣りだけじゃない! 50㎝オーバーも出た!!

当日のポイントの水深は120m前後

ゼロテン釣法でアタリを待つ

アカムツは水面でバレると海に潜っていってしまうので必ずタモ入れしよう

このサイズがヒットすれば御の字。まだまだ水温が高いので早めに氷のきいたクーラーのなかへ入れよう

乗船日に釣れた50㎝ジャストの特大アカムツ

これが50cmの特大アカムツ。2㎏近くあった

この1匹に価値あり!!

カンネコ根のアカムツはサイズを問わずおいしい

静かに釣るのが近年の基本。

釣る人はまた釣る

ムシガレイは常連ゲスト

今回、取材にご協力いただいたのは、茨城・波崎港「浜茄子丸」
近年のアカムツブームの火付け役「カンネコ根」が本格シーズンを迎えた。
「今年も順調ですね。数も出ているし50㎝オーバーも何本か出ていますよ」と波崎港「浜茄子丸」の堀田正巳船長。
カンネコ根のアカムツというと、水深が浅いこともあってか「小型の数釣り」のイメージが付きまとうが、実は50㎝2㎏オーバーの特大も顔を出す釣り場なのである。
釣り場は水深120~150m前後で、オモリは120号(時に150号)が標準と中深場ビギナーにも釣りやすい。
道具立ての軽さ(中深場としては)もあってほとんどの方が竿を手で持ち誘いを掛けて行く。
竿頭になるような方たちはカワハギ釣りようにタルマセやタタキのような誘い動作を駆使する方もいる。
一方でこの日竿頭タイとなった中乗りさんは「自分は誘いは入れません」と言い、見ていると丁寧に底をトレースしながらゼロテンを意識した釣りのよう。
お客さんとの無用なオマツリを避けるためかハリ数1本の仕掛けでビシバシと釣り、ゲストも含め他の人の倍以上のアタリを出していた。
船長にアカムツ釣りのコツを聞くと「まずはしっかりとしたエサ付け。そしてタナですね。底中心だけど底ベッタリじゃあダメ、オマツリも多くなるしね。分からなければ何でも聞いて下さい」とのこと。
カンネコ根のアカムツ釣りは10月中旬頃がベストシーズンだ。
以上の記事は「つり丸」2021年11月1日号の掲載記事です。
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