乗った瞬間の快感、引き味は アオリシャクリ釣りの醍醐味

横須賀・鴨居港の「きよし丸」がアオリイカ乗合を開始したと聞き釣行した。
少し前までは船からのアオリイカ釣りといえばシャクリ釣りと相場が決まっていたが、最近はティップランの台頭もあって、私が知る限り東京湾内でシャクリ釣りの乗合を出しているのは「きよし丸」と金沢八景の「野毛屋」だけ。
ティップランも良いが、長竿の竿先が乗った瞬間に止められる快感、グワ~ンと満月のようにひん曲げられる引き味はこの釣りの醍醐味。
この面白さをお伝えしたい、自分自身も久々にあの衝撃を味わいたい、の思いでの取材釣行だ。
港前で朝いちから モーニングサービス

当日の釣り客は私を入れて9人。
今回アオリ長竿釣法の黎明期を知り、この釣りが得意な元つり丸ライターの伊井さんを誘うと「行きます!」の二つ返事で、右舷トモに伊井さんトモ2番に私と仲良く並んでの出船となった。
「トモと言っても今日の風と潮だと潮先はミヨシだからねー」。なんて話をしているうちに釣り場に到着。
朝いちのポイントは港から数分の鴨居沖で、「23mでやって下さい」のアナウンスで釣り開始となる。
ひと流し目からアオリは乗った。
まずは左舷ミヨシの常連さん、続いてミヨシ2番と200~300g級と小型ながら朝からも好スタートに「今日は行けるか!」と思う反面「やっぱりミヨシ側か」のネガティブ思考も頭をもたげる。
この場所は小さな根のようで「22m」「21m」「24m」と刻々と指示ダナが変わる。
そんな中ミヨシ2番氏が2杯目を釣った。
やっぱりミヨシ側か~? だが、次には左舷トモ2番で竿が曲がる。
スミイカだったが、これでトモでも釣れる! と安心する(おまえは場所だけか!)。
10時頃千葉側へと移動。航路脇の大貫沖25mではどうか?

この長竿のグワ~ンと満月のようにひん曲げられる引き味がたまない
しかしモーニングサービスはここまでとばかりに、この後は乗りが止まる。
船長の見切りは早く、次は観音崎沖のタナ13mへ。
ここでは右舷ミヨシの大関さんが連発。2杯目はこの時期としてはまずまずの良型だった。
そして伊井さんにもスミイカが乗ったが、残念ながら海面でバレてしまった。
10時頃「ちょっと走ります」で千葉側へと移動。
航路脇の大貫沖25mでは左ミヨシ氏に続いて左舷胴の間氏にも乗って、これで顔を見ていないのは右の2番、3番(私)、トモ(伊井さん)と左トモの4人だけ。
ここからは一人ボウズを脱出するたびにプレッシャーが掛かる展開だが、幸いにして? この後は暫く船中に乗りは訪れず平穏な時間が流れて行った。
望外の潮止まりタイムの好釣 下げ潮タイムは神奈川側へ

これが湾内のスタンダートカラーの餌木
そしてお昼近くになって潮止まりタイム。
この日はこれまでも潮はあまり流れず、ましてや潮止まりとなったらキビシイだろうなー、なんて思っていたら右手にズシン! と衝撃。
やったぜ! で巻き始めるとかなり重量感はあるのだが、あまり引かず重いだけ。
「アオリじゃないみたい」なんて口走ってしまったが、水面に現れたのはまごうことない本命アオリイカ。それも7~800gはありそうな良型だった。
餌木は「昔はこんなの良く乗ったよな~」と直前に替えたピンクマーブルだった。
ボウズ脱出で気が楽になると連発するのはどんな釣りでも良くある話だが、直後にはシャクル前にグイグイ! と餌木を引っ張るアタリが出て良型のモンゴウイカ、暫くしてスミイカと3種の揃い踏みは少々出来過ぎである。
伊井さんも乗った! と思いきや「違うよ、暴れてる」とサバフグを釣り、ふてくされる一幕もあったが、その後スミイカ、アオリと連釣しベテランの面目躍如だ。
望外の潮止まりタイムの好釣で、ならば! と期待された下げ潮タイムは神奈川側に戻りラストチャンスに賭ける。
しかし狙っていた観音崎沖には先着の船がいて入れず、鴨居沖で船中ポツンポツンと追釣しただけで14時20分沖揚がりとなった。
船中の釣果は0~3杯で、竿頭は右舷ミヨシの大関さん。
残念ながらお一人ボウズの方が出てしまった。
「なんか思うように行きませんでしたねー。潮色は悪くはなかったんですけどねー。シケ前には数を稼げた早い時期の穴場(タナ7~8mの浅場)も今日は全然顔出さなかったし。まあそのうち良い日もあるでしょう」と船長。
「きよし丸」にはこの日初めて乗船したが、ポインント直撃で釣らせ、乗らないとなるとすぐに移動、と見切りが早いラン&ガン的な操船で、個人的には集中を切らさず釣りが出来て好感が持てた。
「今年は出だしが遅れているみたい」とのことだから、12月以降の冬アオリに期待したい。
東京湾のシャクリアオリは、アオリの他スミイカ、モンゴウイカが交じる率が高いので、3種の食べ比べがしたいグルメ釣り師やアオリビギナーにもお薦めですよ。
【東京湾・鴨居沖】アオリイカのシャクリ釣り釣行レポート

乗った瞬間のズ〜ンッ!が病みつき!!

食べごろサイズが釣れてます!!

こちらも食べごろサイズ

筆者も700g級をキャッチ

墨を吐かれないように静かに水面からイカをあげよう

この日竿頭になったのは大関さん

餌木のカンナにしっかりと掛かっていることを確認してから抜き上げよう

おいしそうなアオリイカですねぇ〜

このサイズがアベレージ。春までにさらに成長する

良型を抜き上げる伊井さん

『つり丸』ライターを卒業した伊井さんは良型を手にエビス顔

スミイカは常連ゲスト

これは各地で猛威をふるっているサバフグ

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・鴨居港「きよし丸」
シャクった竿先がズ〜ン! と止められイカが乗った瞬間の快感がたまらないアオリイカのシャクリ釣り。
軟調長竿がズギューン! と絞り込まれる様は掛けた本人はもちろん傍目から見ていても迫力満点だ。
この釣りを得意としているというかほぼ一筋なのが鴨居港の「きよし丸」で、今年も10月末から乗合を開始した。
釣果はトップで5〜6杯(スミイカ、モンゴウの釣果含まず)の日が多く、
「今年は1杯乗った所でパタパタッと連発することが少なく、ポツンポツンと単発で型も小さいのが多いですねー。出だしが遅れ気味なのかな?」と小田淳船長は控えめだが、この釣りの魅力にハマった釣り人達は足繁く通っている。
なんたって相手はイカの王様と称されるアオリイカ。
抜群の食味と冒頭の釣趣で心を鷲づかみにされたファンは多いのだ。
遊漁船でのアオリイカ釣りは手ばねのシャクリ釣りから始まり、リール付きの短竿シャクリを経て長竿シャクリへと移行した。
最近はティップランの台頭もあるが、シャクリ釣りはシャクリ釣りの面白さがある。
竿とリールがあれば後はハリス、中オモリ、餌木があればOKの手軽さも魅力で、竿は専用竿でなくともメバル竿で代用可能。
長竿をズギューン! とひん曲げればあなたも虜になること間違いなしですよ。
以上の記事は「つり丸」2021年12月15日号の掲載記事です。
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「きよし丸」はイカ専門船。この大型船でのんびりとイカのシャクリ釣りを楽しめる