片道行程30分圏内 近場水深200~300m 深場の大型アカムツを午前と午後船を利用して釣ろう!
12月から復調の気配がムンムンと漂う江見沖アカムツ

陸近くの大きな海溝は、アカムツ生息ポイントの目安となっている。
南房江見沖も例外ではなく、近くに鴨川海溝を有し、古くからアカムツの好漁場として知られる。
そのメインの生息域は水深200~300mの砂泥場。
夏から秋の乗っ込み期こそ、水深140m前後に群れが固まるが、その時期以外はほとんど水深200m以深に生息していると考えられている。
江見太夫崎「渡辺丸」は深海釣りの老舗だ。
10年ほど前から、秋のみのアカムツ釣りをほぼ周年の釣りものとして看板をあげ、多くのアカムツフリークが通う人気宿。
港から約30分圏内で40㎝前後以上の良型が釣れることで有名になった。
今期はというと、理由は定かではないが、夏から秋の釣果はさっぱりだった。釣果がないのでアカムツ狙いで出船せず、さらに拍車が掛かっていた状況だった。
だが、12月になり復調の気配がムンムンと漂い、年明けもまずまずの結果をだしている。
これからがシーズンなのでより楽しみなフィールドだ。
水深200m以上の深場が近いことと午前と午後の2便制なので気軽に乗船できるのが魅力のひとつ。
午前と午後どとらがよいかは、その日の潮による影響が大きいのも事実である。
オモリは200号がメイン 道糸はPE4号を使う

︎冬のマストポイントの水深は250m前後という
南房江見沖のアカムツ釣りは、波崎沖や犬吠埼沖とほぼ同じと考えてよい。
これからロングランシーズンとなる犬吠埼沖と同じだ。
水深は250m前後が冬場の定番ポイントなので、オモリは200号を使う。
タックルはそれに合わせた竿とリールをチョイス。
竿は操作性のよい長さ2m前後のもので多少オモリ負荷に負け気味のものでもよい。理想は7対3調子のもの。
リールは、シマノ社製なら3000番、ダイワ社製なら500番が適合。
これにPE4号を400m以上、可能ならきっちりと500m収納しておく。
高切れ対策のために予備のリールは必ず1個は用意する。
仕掛けは2~3本バリの胴付き。中オモリ付きが基本

仕掛けは幹糸は10~12号各100㎝~120㎝、ハリスは8号50~60㎝、捨て糸6号150~200㎝。
ハリはムツまたはホタ18号と大き目のハリが基本。ハリ数は2~3本。
幹糸とハリスの接続は回転ビーズか親子サルカンを使用する。
ハリスのチモトには、マシュマロボールやフロートパイプを組み合わせて付けるのが流行り。
深海ではマシュマロボール2個+フロートパイプを使うことでエサの潮のり効果とゆっくりフォールを期待できる。
だが、光るものはアカムツに効くが深海サメやサバにもアピールする。
とくにサバばかりヒットするときは“光るもの”は付けないようにしよう。
付けエサはホタルイカとサバの切り身の組み合わせ
付けエサは、茨城海域同様、ホタルイカとサバの切り身の組み合わせでOK。
「渡辺丸」では、サケ皮を用意してあるのでそれとホタルイカの抱き合わせでもいい。
ホタルイカの効果はシルエットを大きく見せるためと肝による集魚効果。
新鮮なものがよいとされるが、基本的に目がしっかりしていれば、イカの色が変色していてもいアピール効果は失わない。
そのホタルイカは目と目の間にハリを刺す。
こうすることで、ハリから外れにくくなる。
肝を直接生かすためによく、エンペラ部とゲソを分離させて、肝をむき出しにするツボ抜きをするが、200m以上の深海ではツボ抜きはしなくても食いは変わらない。

エサはホタルイカとサバなどの切り身の抱き合わせ、いわゆる基本形でOK
エサのフォールでアカムツにアピールさせる誘いを行う

さて、釣り方だがここで基本をおさらいしよう。
オモリが着底したら、まずはゼロテンションでアタリを待つ。
オモリを底に着けたままアタリを待ち、変化がなければ、竿の長さ分、ゆっくりと竿を持ち上げる。
そして、引き続きゆっくりと竿を下げていく。
ここで底にオモリが着かないときはリールのクラッチを切って、ボトムを確実にとる。
ボトムにオモリが着いたら再びゼロテンションでアタリを待つ。この動作が基本の釣り方だ。
中オモリがあるのでタルマセたいところだが、あまりタルマセないのが良型アカムツをとらえることができる最近の傾向だ。
そして、中オモリをゆっくりを持ち上げテンションを張りその後、3~4mリールを巻き上げる。
これらの動作でアタリが全く出ないときのみ、タルマセの誘いを行う。
しかし、タルマセてエサを底に這わすとどうしても深海サメやユメカサゴがヒットしてしまうこととなる。
これら一連の動作でかならずエサのフォール状態を演出しているのがお分かりいただけるだろうか。
このエサのフォールがアカムツに強烈にアピールするのだ。
以前はカワハギと同じタタキ動作も行う釣り人も多かったが、その動作は水深200m以上の深場では道糸の糸フケに影響により、仕掛け付近にはその動きは伝わらないので無駄な誘いとなる。
潮や船の流れる速さで誘い パターンを変えていく

「江見沖の潮の流れ具合は行ってみなくちゃわからないよ」と渡辺船長は話す。
江見沖のアカムツポイントは、黒潮の影響が色濃く出るところ。
上潮のみ速く流れるときもあれば、中層の潮が速いときもある。
また、風により船が流されるときもある。
釣り方としては、潮と船が流れるときと流れないときとで2つに大別可能だ。
まずは潮や船が流れるとき。
この状況は道糸が斜めになったりと多少の釣り辛さがあるが、次々と新しいポイントを攻めることが可能になるので、よい状況だ。
ゼロテンションをメインに道糸は常に張り気味で釣るとよい。
次に潮の流れがゆるい、または流れないときは、アカムツ釣りにとってはあまりよくない。
どちらかといえば、オモリの達着き勝負になり、誘いを駆使することでこの状況を打破できる。
有効な誘いは、タルマセと張りの方法。
オモリは底につけたままで中オモリを利用してタルマせる。
船がトロリとでも流れていれば、そのまま、タルマせたままにしておいても自然と道糸は張る。
ここでアタリがなければ、タルマセてエサのフォール状態をつくってやる。これの繰り返しだ。
これでもアタリがないときはイカ釣りで多用する巻き落としをしよう。
オモリを10m以上あげて再び底ダチをとり、誘い動作に入ろう。
サメやサバが多いときの対策法とは?
200m以上の深場では深海サメはいると思っていい。
そのサメはベタ底でヒットするので、タルマセすぎたり、ステ糸が短いとサメのヒット率があがる。
これを回避するには、ステ糸を長くするかタナを高めに設定するしかない。
具体的にはステ糸は1.5m以上でサメ避け効果が出ると考えよう。
また、ボトム付近でサバが多いときは、まずは光りものを外す。
次にハリ数を少なくする、を心がけよう。
3本バリなら一番上のハリスをとり、2本バリにする。
【南房・江見沖】アカムツ 釣行レポート
良型アカムツオンリーを午前と午後船で楽しもう!
近場のアマダイ五目もおすすめ!

このキャプテンAクラフトの中深場専用万能ロッドが近日デビュー!! 水深200mオーバーのアカムツに最適だ

取り込みは慎重に。かならずタモを使おう

港から行程30分ほどのポイントでこんなサイズのアカムツがコンスタントに釣れるのだ

うれしい40㎝オーバー

体高のあるアカムツが釣れる
価値ある南房アカムツに感謝!!

近場で短時間の間に仕留める1本はかなりうれしい

お手軽メニューは近場のアマダイ五目。午後船がオススメだ

リレーのクロムツ狙いでは明け方が勝負

フラッシャーサビキに多点掛け!!

南房の早朝クロムツはフラッシャーサビキオンリーで釣る

今回、取材にご協力いただいたのは、千葉・江見太夫崎「渡辺丸」
南房のアカムツが年末から復活の兆しが見えだした。
今シーズンの秋はさっぱりだった南房アカムツ。
水温がまだまだ高いせいなのか、年末になってから江見沖の水深250m前後で良型アカムツが釣れだした。
なんといってもここの魅力は、急深の地形を利用したポ イントの近さ。
水深200mオーバーのポ イントも行程30分以内で行ける。
しかも、午前と午後便があるので、寒い冬でも明るく暖かい午後出船で楽しめてしまう。
「いつものポ イントにようやくアカムツが集まりだしたようです。秋はよくなくほとんど狙わなかったけど、今期はこれからって感じですね」とは、深場釣りをほぼ専門にする江見吉浦港「渡辺丸」の渡辺英雄船長。
釣り方と仕掛けは茨城海域やこれからシーズンインする犬吠埼沖と同じ。
オモリは200号をメインに潮が速いときは250号を使う。
さらに冬のお手軽メニューがもうひとつ。アマダイ五目がそれだ。
水深は100m前後。良型メインで釣れるのが特徴。
船宿仕掛けは2.7mのロング仕様だが、2m前後の一般的な2本バリ仕様で十分。
釣りものはリクエストで早いもの順なので、アマダイをやりたい人は早めの予約がおすすめだ。
以上の記事は「つり丸」2022年2月1日号の掲載記事です。
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