東京湾のタチウオジギング、近年のトレンドワードはおとなしめとタングステンの2つだ。
年明けからは猿島沖から走水沖を狙うことが多くなる

周年楽しめるようになった東京湾のタチウオゲーム。
冬場はとくに大型の確率が上がるというわけではないが、良型主体の釣りになることが多い。
肉厚で脂の乗りがよく、コンディションも良好。食味の面でもとても魅力的なシーズンだ。
「年明けからは猿島沖から走水沖を狙うことが多くなると思います。本牧沖などの浅場を釣る可能性も残りますけどね」とは、横浜新山下「渡辺釣船店」のタチウオジギング船を担当する田中茂生船長。
昨年末の取材時はまさに釣り場の変わり目を実感する1日となった。
前半戦は本牧沖の水深40mラインを攻めた。
取材日前の数日間は好調だったが、この日はいまひとつの食い渋り。
魚探反応はあり、ポツポツと釣れてはくるものの、とてもテクニカル。
移動するかどうか、悩んでいた船長のもとに、先に走水沖に移動していた僚船から朗報到来。
走水沖の70mラインに急行直後から活発な食いに遭遇。
多くのアングラーがグッと数を伸ばしたようだ。
結果的にトップ釣果は29本とまずまず。
指4本クラスが主体のため、クーラーボックスはずっしりと重くなった。
しかし、浅場、深場ともにウデの差が出ていたのも事実。
以降は差が生まれるところを、グッと掘り下げてチェックしていきたい。
浅場と深場でタックルが大きく変わることはない

滑らかな巻心地でありながら剛性感の高い、ソルト用ベイトリールがおすすめだ
まずは、基本タックルを整理しておこう。
40m前後を狙う浅場用と60~80mの深場用で大きく変わることはない。
通常の東京湾タチウオジギングタックルでOK、基本はベイトタックルとなる。
ロッドはタチウオジギング専用ロッドが理想的。
ほかにも6ftクラスのライトジギング用でも十分に対応可能だ。
使用するジグのウエイトに合わせてパワークラスを変え、複数本用意できれば完璧だ。
リールはソルト仕様、ジギング対応の小型ベイトリールがおすすめ。
巻き心地がスムーズで、堅牢かつ耐久性のあるものを選ぶとよいだろう。
メインラインのPEは0.8号が標準。
リーダーは40~50 Lbのフロロカーボンラインを2~3mほど結節して使うか、30 Lb程度のリーダー先端に30㎝以内を目安に60~80 Lbのリーダーを結節してもよい。
ジグウエイトは深場では120g、150gがメインウエイトとなるが、浅場では80gを中心に45g、60gといった軽量ジグが活躍することもある。
比重の大きいタングステン製ジグは鉛製ジグと同じウエイトでもシルエットを小さくできる。
反対に同じ大きさなら軽いものを使用できる。
鉛製とタングステン製ではウエイトの使い分けの基準が少し異なるものと考えておくとよいだろう。
ジグのカラーやタイプは選択肢が多い。
楽しい悩みでもあるが、定番はセンターウエイトのもの。
これを中心にカラーもピンク系やブルピン、オレ金、イワシ系などの定番カラーを押さえたうえで好みのものを用意すればよいだろう。

ジグはあまり偏ることなく、いくつかのタイプを用意しておくことが大切だ

後方重心のフォールの速いタイプのジグ。鉛製でも小型のシルエットのものが、近年の人気だ
低活性のときでも食わせることができるようになってきた
近年、東京湾のタチウオジギングの基本パターンが少し変わってきているように感じる。
変わった、というより低活性のときでも食わせることができるようになってきた、と言えるかも知れない。
「最近は、以前よりおとなしめの動きのほうがいい感じがしますね。これは浅場、深場と水深に関係なく言えると思います」とは田中船長。
ジグの動きとしてイメージするのは、左右にあまり動かさず、軽く振れながら上へ上と上がっていく感じだ。
とは言え、ただ巻きでは少々食いが落ちるようで、やはり少しは左右に振れ、また一瞬止まるような間があるとアタリが出やすいようだ。
スピードも中速から低速くらいがちょうどよい。
言葉で言うのは簡単だが、やってみると実はけっこう難しい。
それぞれに使用しているロッドの硬さやリールの巻き取りスピードなどが異なるため、数を伸ばす常連さんたちも、それぞれに自分なりのパターンを持っている。
理想的な動き、しかも自分なりのアクションパターンを身に付ける必要がある、ということだ。
ジグのアクションパターンとも関係するが、ジグのシルエットは小型のほうが有利なケースが多くなっているようだ。
そこで人気があるのがタングステン製ジグ。
同じウエイトなら鉛製のジグよりかなり小さいシルエットのものを使うことができる。
比重が大きいため動きも小さくなる。
鉛製ジグに比べるとやや高額になるが、はっきりとタチウオの反応に違いができることもある。
やはりいくつか用意しておくと安心だ。
ジグアクション、素材ともに共通して注意したいのは、活性が高い状況では従来のスピード感のある動かし方や鉛製のジグを使ったほうがが効果的なこともある、ということ。
意識して使い分けをしていくことで、より釣果を伸ばすことができるはず。
ぜひ参考にしていただきたい。

近年人気を集めているタングステン製ジグ。鉛製に比べ、高価ではあるが、ぜひ用意しておきたい
東京湾 タチウオゲーム 釣行レポート
熱い!冬のタチウオゲーム!メーターオーバーの肉厚コン ディションのタチウオが乱舞!

平日ながらほぼ満船。タチウオゲームの人気ぶりが伺える

︎フロントとリヤにフックをセットするのが東京湾スタイル。フックサイズなどは使うジグに合わせて調整したい

朝一番は本牧沖に僚船と並ぶようにして釣った

取材日、「渡辺釣船店」としては、この冬初めて攻めた、という走水沖。同ポイントには船団が形成され、冬タチシーズン開幕を模わせた

助手の佐野さんおすすめのジグ各種。写真右上から鏡牙ジグRF、鏡牙ジグベーシック、鏡牙ジグセミロング、TGベイト(以上、ダイワ製)、フォルテン、スピンビット、レプティス
(以上、ブルーブルー製)

ちょっと竿を出します、と言ってから、いきなり釣りまくった助手の佐野代吉さん

繊細なシャクリに繊細なバイト。タチウオゲームは近年、さらに進化のスピードを早めている

ダイワ、ブルーブルーといったメーカーからサポートを受けている助手の佐野大吉さん。将来有望な若手アングラーだ

幅広&肉厚のナイスコンディション

スペースに余裕があれば水面まで寄せ一気に抜く。余裕がない場合はリーダーを掴んで取り込もう

ズッシリと重い、東京湾のタチウオ。1本でもその重量感はなかなか、だ

思わず笑顔。いい型のタチウオだ

特大こそ出なかったが、釣り応えのある良型が多かったのが特徴だ

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・新山下「渡辺釣船店」
東京湾、冬のタチウオゲームが面白い。
「うちでは周年タチウオを追いかけているので、この時期がベスト、ということはないですが、冬は肉厚で脂の乗りが非常によく、食べては1年で1番美味しい時期なのが魅力ですね」とは、横浜新山下「渡辺釣船店」のタチウオ船を担当する田中茂生船長。
船長の言葉通り、船宿のWEBサイトには、特大こそ目立つわけではないが、メーターオーバーの肉厚コンディションのタチウオが乱舞していた。
一時期苦戦していたが数も上向き、ということで、2021年末、実釣取材へと繰り出した。
スタートは本牧沖の40mラインを攻めた。
取材日前の数日間のメインポイント、ということだったがポツリポツリの拾い釣りという展開。
型は1m前後が多かったが、アタリは少なかった。
僚船からの情報もあり、走水沖の船団に加わった。これが正解。
活発な食いの群れを見事に捉え、グイグイと釣果が伸びる結果となった。
最終的にトップ釣果は29本を記録した。
こう記すとイージーな日だった? と思われるかも知れないが、スソは3本。
この数の差を生み出したのが、テクニックと経験。
落とせば釣れる、というわけではないところが、タチウオゲームの魅力でもある。
今後は走水沖をメインステージに同様の展開が期待される、とは田中船長。
テクニカルな冬タチウオの楽しさ、ぜひご堪能ください。
以上の記事は「つり丸」2022年2月1日号の掲載記事です。
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