まるで伊勢エビ!? コツは「根を感じて」 「一本目のハリを意識する」

大型遠征船で楽しむ 絶品オニカサゴ釣り

「とび島丸」の船は大型の銭洲遠征用。釣り座は広く、船内にはベッドがあって行き帰りは仮眠できて快適。電子レンジやポットもある
「漁師や船長は、自分のところの海で獲れた魚が一番うまい!ってよく言いますが、確かにそれも分かりますが、ただこの石花海のオニカサゴだけは別格だと思います。実際に他のエリアのオニカサゴと食べ比べてみましたが、石花海のオニカサゴは本当に美味しかったです」と話すのは、土肥港「とび島丸」第十一号船の鈴木忠文船長だ。
そんなオニカサゴだからこそ、「ぜひ活かして持ち帰ってください。帰宅したら生きているうちに包丁の背でオニカサゴの頭を叩いて締めて、すぐにお刺身で食べます。エビですよ。これは食べているエサによるものだと思いますが、本当に美味しいです。つけるのはポン酢がおすすめですよ!」と話すのは「とび島丸」鈴木裕己・若船長だ。
それゆえ、「とび島丸」の常連さんたちは小型の生簀のようなポリタンクや80Lサイズ以上の大型クーラーボックスを持参。それらに海水を入れ、ブクをセットして活けで持ち帰っていた。
「とび島丸」では、そんな絶品オニカサゴが好調だ。
サイズは大型が多く、数は状況にもよるがトップで10匹前後。
ダブルは珍しくなく、トリプルもある。
しかも「とび島丸」の船は十一号も十八号も銭洲遠征で使用するもの。
どちらも大型で広く清潔で、船内にはベッドもある。
エアコンも効いていて、行き帰りはそこで仮眠できる。
非常に快適だ。もちろん、船内には電子レンジやポットも完備。
とくにこの時期は、温かい食べ物を食べられるというのは嬉しい。
「4月の銭洲遠征が始まるまで狙っていきます」とは忠文船長。
銭洲解禁まではあと1ヵ月半ほど。
ぜひ早めにチャレンジしていただきたい。
アクセサリーやエサ 色々考えるとおもしろい


タックルは、先調子の竿に、道糸PE5号が400m以上巻くことができる中型電動リールの組み合わせ
石花海のオニカサゴ釣りで使用するタックルは、竿は2m前後でオモリ150号をつけて快適に操作できるもの。
底質やアタリが分かりやすく、誘いを行いやすい8対2など先調子タイプがおすすめだ。
リールは中型電動で、道糸はPE5号を400m以上巻いておく。
オモリは前述のように150号が基本だが、潮が速いなど状況によっては200号も使用することがあるので、200号も持参しておこう。
仕掛けは幹糸8号、枝ス6号、全長2m程度の3本バリ仕掛け(詳細はイラスト参照)。
ハリスや全長がそのような物であれば、市販仕掛けでももちろん問題ない。
夜光玉やケイムラパイプ、タコベイトといったアピールグッズについては、後述するがオニカサゴ釣りで重要なことのひとつに「エサの姿勢」がある。
その姿勢を狙い通りのものとするために、それらを使用するという考え方もある。
したがって、自分の狙い通りの姿勢にエサがなっていないと思うのであれば、すべて外すのもひとつの手。
ちなみに、当日すべての装飾品を外して釣りをした釣り人がいたが、それでもオニカサゴは問題なく食ってきた。
オニカサゴの目の前に的確にエサを落とす誘いと、エサの姿勢の重要を認識したひと幕だった。
さてそのエサだが、「とび島丸」では各自で用意する。当日釣り人たちが持参していたのは、サバ、カツオ腹身、アナゴ、イナダの皮、サケ皮、サンマ、イイダコ、イカなどと多種多様。
どれがとくによかった、というものは見受けられなかったが、それよりもとある釣り人は「エサのアピールという意味で重要なことのひとつは、波動(振動)だと思います。どういう潮の流れで、どういう波動を出したいかによって、エサの素材や切り方を考えます」とのこと。
もちろん、この釣り人もよくオニカサゴを釣っていたので、ぜひ参考にしてみていただきたい。

仕掛けは3本バリ。アクセサリー類やタコベイトは状況に合わせて

エサは各自で用意する。ベーシックなのはサバだ
根を感じて、一番上の ハリ(エサ)を意識する

「初心者の方にお伝えしているのは、釣り方で重要なのは“根を感じる”ということと“一番上のハリ(エサ)を意識する”ということです」とは裕己船長。
オニカサゴは“根魚”といわれるだけあって、主に根に体を着けて生息している。
それゆえ、仕掛けが海底から高く浮いてしまっていてはオニカサゴは釣れない。
オモリでトントンと海底を小突いて常に“根を感じる”とはそういう狙いである。
また、その“根を感じる”にはもうひとつ意味がある。“底質”を見極める、ということだ。
というのも、ポイントは常に根であるとは限らない。砂であったり泥であったりする。
そういう場所では基本的にはオニカサゴはヒットして来ないので、少し気持ちを休めるなどして、根になったらまた集中…すれば、集中力が持続して釣果も伸びるというものだ。
さて、オニカサゴが捕食しているエサは根にいるエビやカニなど甲殻類やその周りにいる小魚など。
しかも、冒頭で紹介したように、石花海オニカサゴはエビの味がするというほどなので、主食はエビやカニであろうというのは想像に難くない。
したがって、エサはそういった生き物をイメージするとよい。
そこで重要となるのが“エサの位置”。
エサは海底スレスレやそのすぐ上にあることが理想的だ。
そのための「一番上のハリを意識してください」なのだ。
一番上のハリは、紹介した仕掛けではテンビンの腕から出てハリス長40㎝。
オモリを海底からその分上げれば、単純に考えれば一番上のハリは海底からオモリの長さ分ほど上となる。
潮の流れを考慮しても、オモリで海底を小突いていれば、一番上のハリはほぼ常に海底付近を漂う計算だ。
つまり、裕己船長が教えてくれたオモリでトントン“根を感じる”ことと“一番上のハリがどの位置にあるのかを意識する”ことを行っていれば、極上石花海オニカサゴが釣れる! ということ。
実際、オニカサゴ初挑戦の人が、当日裕己船長が教えてくれたこの釣り方を行ったところ、ベテラン勢が驚くほど連発。
効果抜群なので、ぜひ試していただきたい。
最後に、忠文船長からのアドバイスを。
「エサの落とし方を意識してみてください。横向きに落とすのか、縦に落とすのか。どれがいいといいうのは状況次第ですが、それを意識するだけで釣果が変わりますよ!」ぜひ参考にしていただきたい。

石花海の極上オニカサゴの持ち帰り方と調理法
極上の石花海オニカサゴを活かして持ち帰るために、常連さんなど通い慣れた人たちは小型の生簀のようなポリタンクや、オニカサゴ釣りには明らかに大きい80Lクラス以上の大型クーラーボックスを持参していた。
その中に生きているオニカサゴを入れ、海水をたっぷり入れて持ち帰るのだ。追加の海水を持ち帰るためのポリタンクやクーラーボックスを用意する人もいた。
エアレーション(ブク)も用意できればなおよいのは言うまでもない。
食べ方としては、まずはその活かして持ち帰ったオニカサゴの頭を包丁の背で叩いて締め、お刺身で。
裕己・若船長のおすすめは、それをポン酢につけて食べるという。
その他、定番のしゃぶしゃぶをはじめ、唐揚げ、てんぷらなど。
さらに、「胃袋と刺し身で引いた皮は茹でて細切りにして、そこに肝を和えてポン酢で食べると最高ですよ。頭や背骨からはいいだしが出ます。ヒレはヒレ酒ですよね。オニカサゴは本当に捨てるところがありません」
こんなことができて、こんなオニカサゴを食べられるのは、まさに釣った人だけ。
これはもう「とび島丸」に行って、自分で釣って試してみるしかないでしょう!
【駿河湾・石花海】オニカサゴ 釣行レポート
大型銭洲遠征船で超快適!
甘みが強く超絶品!オニカサゴの味の概念を 覆されるゾ!!

オモリで“根”を感じ、一本目(一番上)のハリを意識する。これが石花海の絶品オニカサゴを釣るコツだ

サイズがよければ取り込みは必ずネットで。非常に美味しいので大切に扱おう。鈴木裕己・若船長は「味はまさにエビです!」という。ぜひ釣って味わっていただきたい

釣り具メーカー「アシュラス」のテスターを務める本田雅秀さんはグッドサイズをダブルで

“親方”こと松井さんはビッグサイズを。石花海のオニカサゴは美味なうえに、捨てるところがほとんどない

釣ったオニカサゴは活かして持ち帰り、刺し身をポン酢で食べるのが鈴木裕己・若船長のおすすめ

バタバタと同時にヒットすることも多い。周囲の人がヒットさせたらチャンスだ

石花海のオニカサゴは甘みが強く超絶品!

このサイズがコンスタントにヒットした。小型は必ずリリースを!

とてもオニカサゴ釣り初挑戦とは思えないほど連発していた遠藤さん

釣り具メーカー「アシュラス」代表の鈴木誠さんと営業の小堀さんも同時にヒット

ゲストはこのアラ! タナはオニカサゴより高めを狙う

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・土肥港「とび島丸」
近年、駿河湾・石花海の冬場のターゲットとして注目され人気も高まっているのが、オニカサゴだ。
その理由は、大型が多く、数も狙えること。2㎏級や、ダブルは珍しくなく、手練のアングラーたちが狙うのはハリ数分のトリプルである。何よりも、最大の理由は“味”だろう。
「本当に美味しいですよ。船長とか漁師は、みんな自分たちが活動する海で獲れた魚が一番美味しいといいますが、確かにそういうのも分かりますが、この石花海のオニカサゴは別格だと思います。他のエリアのオニカサゴとは比べ物にならないぐらい美味しいです」と話すのは、「第十一とび島丸」の鈴木忠文船長だ。
「ぜひ活かして持ち帰ってください。帰宅したら包丁の背で頭をトンと叩いて締めてから、すぐに刺し身で食べてみてください。悶絶級のうまさです」とは、鈴木裕己・若船長。
本当に美味しいのか。そしてどれほど美味しいのか。
ぜひご自身で釣って確かめていただきたい!
以上の記事は「つり丸」2022年3月1日号の掲載記事です。
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