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釣る前に、食べる前に、アイゴという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、アイゴという魚を知ろう!

アイゴ(スズキ目アイゴ科アイゴ属)本州以南。熱帯インド・西太平洋の岩礁域、サンゴ礁域に広い生息域を持つ。

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アイゴ(スズキ目アイゴ科アイゴ属)の生態

岡山県では高級魚です!

本州以南。熱帯インド・西太平洋の岩礁域、サンゴ礁域に広い生息域を持つ。

本州は本種の世界的北限である。

南はオセアニア区、オーストラリアまでなので、これくらい熱帯から温帯域に広がった種は珍しい。
 
標準和名は明治期に東京の魚河岸(日本橋にあった)で採取された言語だ。

まだ魚類学が産声を上げたばかりの時代で、標準和名としてはもっとも古いもののひとつ。

背鰭などの棘が鋭く毒を持つ。アイゴは「あい(棘)」のある魚という意味だとされている。

日本各地での呼び名でも棘という意味合いの「あい」、「えい」がつくものが多く、愛知県以南ではそのものズバリ「あい」、皮が一体化して手で剥ぐことができるので「棘の剥(あいのはげ)」などという地域も多い。

臭みのある魚で「尿(いばり)」と呼ぶ地域もある。

ちなみに本種ほど地域によって価値観の変わる魚もいない。

アイゴの値段は?

関東の市場ではほとんど流通に乗らない。

のっても競りにかける前に廃棄されることもある。

これは国内多くの地域で同様である。

要するに関東などでは1尾の値段はただでしかない。

唯一、岡山県で手の平級が非常に高い。

キロあたり5000円以上もする。今回の100gサイズで1尾500円だ。

「アイゴ」の寿司…シマアジよりもイサキよりもコレがいいかも!

春になると鬱になる友人がいる。

「話聞いてくれ」と言われたのでわざわざ三重県志摩まで、酒を酌み交わしに行った。

オミクロンの後遺症でぜんぜん客足が戻らないという店主のぐちを聞きながら、肴はなんとシマアジの刺身なのであった。

「ゴージャスだね」

「その辺でね、オレがちょちょっと釣ったヤツだから小さいのよ」

「あれ、鬱なのに釣りするんだ」

「ちがわい、鬱だから釣りだろ」
 
我が友の釣り場は熊野灘だが、年間を通してシマアジが釣れるのだという。

眼の前に、刺身になって出て来たものは〇・六キロで小さいと言うが、ボクのようなヘボ釣り師には、十二分にうらやましいサイズだ。
 
数日後、『市場寿司』に顔を出したら、ここにも鬱な人がいた。

「どうしたの。お客がこないの?」

「ちがわい。来すぎなんだい」
 
久しぶりなので、まずは河童巻きでお茶を飲み、茅ヶ崎沖で店の常連さんが釣り上げたアジを青じそと一緒に中巻きにしてもらい、つまむ。

「アジをつまむと春近しだね」

「なに言ってるの。外を見ろ、外を」
 
なんと隣の公園の桜が咲いている。

桜が咲くと鬱になるのはだれあろう、そろそろ晩年を迎えようとしている、たかさんなのであった。
 
その翌日、追いかけるように熊野灘のシマアジが送られて来た。

写真撮影用にきれいなのをお願いしていたのだ。

重さを計ったら二尾ともほぼ〇・六キロ。

今、熊野灘で釣れるシマアジはみな同級生らしい。
 
一尾、『市場寿司』に持ち込んでつけてもらう。

店で使っているのは養殖ものだ。

やはり天然ものの方がうまい。

おみやにシマアジの中巻きを作ってもらって、その日一日、シマアジ三昧なのであった。
 
近所の深海釣り師が相模湾にベニアコウ釣りにいった。

本命はくれなかったがユメザメをくれた。

「これつけて」
 
まぶたをむにゅむにゅ閉じて見せたら、「気持ち悪い」とたかさんが逃げた。

それでも無理矢理つけてもらったらあまり味がなかった。
 
さて、ある小雨模様の朝、市場の釣り名人、クマゴロウのところに寄ったら、館山まで遠征して釣り上げたマダイや小さなシマアジなどが置かれていた。

小さいけどきれいなシマアジだなと思っていたら、なにやら小物ばかりの袋をくれた。
 
新宿に出なければいけなかったので、たかさんに丸投げ。

新宿からの帰途、昼下がりに『市場寿司』ののれんをくぐる。

そこにはにこやかな顔をした、たかさんが立っていた。

店を見回したら可愛い女子が握りをつまんでいる。

鬱なジジイの特効薬は可愛い女子らしいと思っていたら、握り八かんがずらりときた。

「なんだかわかる?」
 
端っこは嫌がっていたユメザメ、次が北海道の釣り師からのサクラマス、真ん中の三かんはクマゴロウが釣り上げた小イサキ、次が小シマアジで最後の二かんがわからない。

「最後の二かんはアイゴかな」

「クマさんが釣って棘をハサミで切り落としたアイゴちゃんだよ」
 
クマゴロウは常に大もの、特にシマアジ狙いなのでハリは十号以上のはず。

それで小アイゴを釣るなんて天才としかいいようがない。
 
このなかでいちばんうまいのは絶対シマアジだ、と思っていたら、まさかの小イサキだった。

そして最後にアイゴをつまんだら、まさかの、

「たかさん、アイゴちゃんかな?」

「ぜんぜん臭味がないし、脂あるよね。旨味もあるのに後味がいい」
 
釣り師の釣果がこんな風に多種多様になる、そんなところにも春を感じる。

と、たかさんが唐突に、「もうすぐはーる、ですね♪」

「もうずっと前から春なんだって」

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2022年4月15日号の掲載記事です。

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