5㎏6㎏の大ダイも揚がり始めたと聞いて いても立ってもいられずマダイ釣りへ
4月に入り各地からマダイ乗っ込みの報が入り出した。
その昔伊豆の老漁師から聞いた「マダイの乗っ込みは毎年吉野桜が咲く頃ですよぉ」との言葉が思い出されるが、今年の沼津はマダイの動きが遅く、桜が散り始めてから本格的な乗っ込み態勢がみられるようになったようだ。
「5㎏6㎏の大ダイも揚がり始めた」と聞いては、いても立ってもいられず沼津久料港の「魚磯丸」へと釣行した。
「沖の横根」で規定時刻の5時半を待って釣り開始

「魚磯丸」では予約者が全員集まった時点で、くじ引きで座席を決める。
この日は10人の釣り人が集まり私は右舷のトモ2番に座席が決まった。
全員の準備が整うと、いつもは8号船の舵を握る松崎船長も中乗りとして乗り込み、久保田清船主の操船で「第5魚磯丸」は出港した。
船は湾奥へと進み昨日良かったという「沖の横根」で規定時刻の5時半を待って釣り開始。
「タナは上から70m。75mまで仕掛けを下ろしてコマセを撒きながらタナに合わせて下さい。その後はコマセを振る時も70mより下には下げないで下さいよ」のアナウンスが出る。
一投目から私の右隣、右舷トモの細川さんにアタるが、これは残念ながら5~6m巻いたところでハリ外れによるバラシに終わった。
しかし直後に左胴の間、左ミヨシ2番氏にキロ級、1.2㎏級と連発で上がってまずまずの好スタートだ。

釣り座はくじ引きで決める
自席に戻ると竿先が海中に突っ込んでいて・・・を期待

乗っ込み期では静かな誘いが有効
「この釣り場はほとんどエサ取りはいないからじっくり狙っていいよ」とのこと。
また沼津湾内のマダイ釣り場は、潮の流れも穏やかでオマツリもそう多くないので私も取材の片手間に置き竿を出す。
カメラを持って船内を回り自席に戻ると竿先が海中に突っ込んでいて…なんてことを期待してだが、この日は全くそんなシーンにはお目に掛かれなかった。
唯一のアタリはフワフワクンクン! で釣れたウルメイワシのみ。
これが20cmを優に超える丸々としたウルメで「そいつは旨いよ」の船長の声を聞くまでもなく水氷のクーラーに大切に仕舞った。
10分経って回収するも付けエサのオキアミは全くの無傷
その後もポツリポツリとマダイはアタる。
釣れ上がるのはキロ~1.5㎏級と釣り頃食べ頃サイズ。
個人的には文句のないサイズだが、「魚磯丸」では3匹の総重量で争う日刊スポーツ新聞社主催のマダイダービー開催中で「入賞にはトータルで10㎏超優勝を狙うには15㎏超かなー?」と言う人達からすればまだまだ物足りないサイズとなる。
そう沼津湾は大ダイも多く時には10㎏超なんてモンスター級も揚がる釣り場なのだ。
朝方はポツポツ食っていたタイも日が高くなるにつれ口を使わなくなった。
タイの魚影は濃いようで船長からは「反応入って来たよ」と何度もアナウンスが出るのだが…。
エサ取りは少なく10分経って仕掛けを回収するも付けエサのオキアミは全くの無傷だ。
さ~てどうしよう? アタリが少なくなるとタナを下げてアタリをもらいに行きたくなるが、マダイ釣りでは指示ダナよりもビシを下げるのは御法度。
じゃあ仕掛けを長くして付けエサの位置を下げるか?
いやいや先日友人から聞いた情報では「逆に皆より仕掛けを短くして誘いを掛け浮いたタイ狙いで連発した」なんて聞かされていたしなー。
じゃあハリスを細くしてみるか?
いやいや大ダイが食ったら…なんて考えていたら右隣の細川さんが掛けた。
乗っ込み時のマダイはセンシティブ
これまで氏は何度かハリ外れによるバラシに泣いていて「今回はしっかりアワセましたよ」とリベンジのヤリトリ開始。
竿は大きく曲がり結構な重量感で時々巻く手を止められるが、水深があるせいか(タナ70m)ドラグを出すほどの引きではない。
本人いわく「2㎏くらいかな?」でベテランらしい安定したヤリトリで徐々にタイを浮かせる。
そして無事松崎船長のタモに収まったのは後検3.3㎏のキレイな良型マダイだった。
仕掛けを聞くと全長12mにクッションゴムを2連結3mとのこと。
私のクッションゴムを含めた全長よりも4m長い計算。
う~むその手が正解だったか…だが、この後はマダイの食いは一層渋くなった。
船長は場所移動を繰り返しタナで40m、30mと浅い釣り場も狙ってみたがどの釣り場でもマダイの顔を見ただけ。
「いやー今日は厳しかったねー。反応は昨日よりも良かったくらいなんだけどねー。何が気に入らないのか食いは渋かったねー」と船中0~3枚の釣果で沖揚がりとなった。
乗っ込み時のマダイはセンシティブで、ちょっとしたことで食いが落ちたり逆に急上昇したり、は良くある話。
実際「魚磯丸」では翌日以降トップ4~5枚、船中20枚近い釣果に復活している。
今年は始まりが遅れた分5月以降も楽しめそうな沼津湾の乗っ込みマダイ。
桜の時期は終わったが、富士山にマダイの日本人好みのシュチュエーションは健在。
船酔い知らずの静かな海で竿先がドーン! と入る快感…たまりませんよ!
沼津湾マダイ 釣行レポート

強烈な引きがマダイロッドを急襲した

海面まで暴れる元気な大ダイがタモに無事に収まってほっと一安心
この日、最大は3.3㎏

当日最大は3.3㎏!細川さんがキャッチ

マダイ特有の引きを満喫しよう

これが数釣りできるサイズ。食べてはこれくらいのほうがおいしい

1㎏前後が数多く群れている

浮いてヒットした

肌がすでに黒くなっている個体も多い

小ぶりだが本命キャッチににんまり

今回、取材にご協力いただいたのは、静岡・沼津久料港「魚磯丸」
雄大な富士山を間近に望む沼津沖でマダイの乗っ込みが始まった。
「今年はやや遅れ気味でしたけど、ここに来て釣れ出しましたね。ウチはまだ6㎏止まりだけど、僚船では8㎏の大ダイも釣れています。これからGW後くらいまで楽しめると思いますよ」とは沼津久料港「魚磯丸」の久保田清船主。
沼津沖はその形状から風には滅法強く出船確率はすこぶる高い。
風の弱い日にはそれこそ湖のようなベタ凪ぎの海で釣りが楽しめるのだが、そんな静かな海で特大のマダイが釣れ上がるのだから驚きだ。
マダイ釣りのキモは「タナの厳守とコマセのまき方」と良く言われるが、「湾内のそしてこの時期のマダイは特に敏感です」と8号船担当の松崎英信船長。
「ウチでは高めにタナを指示していて、コマセに反応して上ずって来たタイを食わせるイメージです。釣れないとタナを下げたりコマセを大量にまいたりする人がいるけど、それは全くの逆効果。ソバだってちょっとずつ食べるわんこソバならたくさん食べられるけど、大盛りに盛られたソバだと1、2枚でお腹一杯になっちゃうでしょ? それと同じですよ(笑)」
「魚磯丸」では5月22日までマダイダービーを開催中。
3匹の総重量(期間中は何度でも入れ替え可能)で競い、入賞者には竿など豪華賞品が用意されているようだから、これに挑戦するのも面白そうだ。
以上の記事は「つり丸」2022年5月15日号の掲載記事です。
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