人気の東京湾タチウオゲーム。タックル、アクションパターンなどの基本事項を整理してみよう。
ほとんどの船がオフシーズンにしている“いま”のタチウオ攻略術
貴重な一年を通して出船しているタチウオ専門のルアー船

東京湾の人気ターゲット、タチウオ。
さまざまな釣り方で楽しめるが、なかでもジギングゲームは、人気の高さもあって周年楽しめる釣りとして定着しつつある。
「お客さんの出足もいまひとつになるので、春は出船をやめている船も多いです。うちでは釣れ続ける限りは狙っていくつもりです」
取材にお邪魔した4月中旬、横浜新山下「渡辺釣船店」の田中茂生船長のコメントだ。
以前はオフシーズンとされていた春も続けて出船、一年を通して出船しているタチウオ専門のルアー船は東京湾でも3隻程度だろうか。
「渡辺釣船店」もそのなかのひとつだが、それだけタチウオにこだわりを持っているとも言える。
実際、田中船長はとても細かく攻略法を考えている。
乗船しているアングラーの技術などを考慮したうえで、数狙い、型狙いを展開。
粘るか移動するか、という判断を的確に行い、船中の釣果アップを狙っている。
実際、そうした日々の積み重ねが、人気船宿としてお客さんを惹きつけ続けている。
4月中旬の取材日は数こそ順調にヒットしたものの、多くのアングラーは肉厚ではあるが指4本どまりまでに終始した。ドラゴンサイズは少なかった。
直前の出船では10本前後のドラゴンが登場したというので、日並みによるムラの範疇と言えよう。
5月以降は、それまで出船をストップしていた船もタチウオ乗合をスタートしてくるはず。
夏タチウオシーズン開幕という状況となっているはずだ。
成熟したゲームだが、基本タックルをおさらいしておこう

近年はタングステン製ジグも人気。種類も増えてきたので、いくつか用意しておくといい
東京湾のタチウオジギングタックルはある程度成熟しているが、少々変化している部分もある。
おさらいの意味も込めて簡単に紹介していこう。
ロッドは使用できるジグの最大ウエイトが100~120g程度を目安に、タチウオ専用ロッド、スーパーライト、もしくはライトジギング用ロッドから選択するとよい。
慣れた方ならシャープで感度がよいタイプもよいが、不慣れな方は、ジグが必要以上に暴れすぎず、掛けてからバラシが少ないやや軟調なタイプのほうが使いやすいと思われる。
長さは6ftクラスが適当だ。
リールは小型でも頑丈なソルト仕様のベイトリールがおすすめ。
とにかくリールへの負担が大きい釣りなので、あまりに安価なものはすぐにギアなどが不調になりやすい。
しっかりした大型ハンドルがついたものを選択すれば疲労感も軽減される。
HG、PGなどのセレクトは好みもあるが、使い分けてアクションを変更する手段として活用するのもおすすめだ。
メインラインはPE0.8号がベストマッチ。太くてもPE1号までに留めておきたい。
リーダーはフロロカーボンの10号直結か、6~8号の先端に12~14号をセットした2段リーダーシステムがおすすめだ。
ジグは100~120gを基準により軽いもの、より重いものを幅広く用意しておくと、あらゆる状況への対応力がアップする。
最軽量で45g、最重量で200g程度を目安にしておくとよいだろう。
水切れがよく、スッとスピーディーにフォールしていくタイプ、ヒラヒラと良く動きながらフォールするタイプ、最低2つを用意して使いわけるのがおすすめ。
近年はタングステン製ジグも大人気。少々値が張るが、そのシルエットの小ささとナチュラルな動きの効果か、釣果が偏ることも珍しくはない。
ぜひ用意しておくことをお勧めする。
カラーはアカキン、ブルピン、グローゼブラ、ムラサキ、イワシ系などの定番カラーを用意しておけばよい。
フックセッティングは前後にトレブル、もしくはフォースフックをセットするのが基本スタイル。
サイズは使用するジグに合わせてセレクトするのが基本だ。
フロントはやや小さめにすると絡む頻度を少なくできる。
基本はベイトタックルだが、浅場狙いをするときにはスピニングタックルも使いやすい。
余裕があったら用意しておくと幅広い攻め手を繰り出せるはずだ。

カラーローテーションも重要な攻略パターンのひとつ
基本アクションパターンは、ワンピッチ&ワンジャーク
タチウオジギングの基本となるアクションパターンは、ワンピッチ&ワンジャーク。これだけでOKと言っても過言ではない。
ただ、比較的単純と思えるこのアクションパターンでもバリエーションは無数とも言えるほど生み出すことができる。
このバリエーションの違い、重要性をどれだけ本気で捉えることができるかが、上手な人と、あまり釣れないというアングラーの差となって現れると言っていいだろう。
タチウオの場合、まずは使っているジグを綺麗に泳がすことを大前提に考えるとよいだろう。
不用意に動かし過ぎたり、ジャーク後に大きくフォールさせたりという派手な動きは、応用パターンとして考えておく。
指示されたタナを綺麗にジグを泳がせて探っていれば、必ず反応があるはず。
そこからはジグをより動かしたほうがいいのか、ただ巻きに近いイメージでおとなしく動かしたほうがいいのか、などを考えるとよい。リーリングスピードも同時に考慮したい要素だ。
また、タチウオはフォールに対する反応がとてもよい魚。
投入直後のフリーフォールはもちろん、ジャーク後のフォールへのバイトをしっかり取っていくことも好釣の秘訣。
ぜひ注意して楽しんでいただきたい。
東京湾タチウオジギング 釣行レポート

ヒット直後のトルクのある引きが醍醐味のひとつ

フォール中のアタリをバンバン掛けていたアングラー

良型登場! アングラーは三小田さん。34本を釣ってダントツのトップ釣果を記録した

久里浜沖では小振りなサイズが目立ったが、食いは上々だった

取材日の最大サイズ、117cm。アングラーは藤井さんだ

指5本以上! 肉厚で体高のあるグッドコンディションだ

少し潮が濁っていた取材日。アカキンカラーが活躍する場面が多く見られた

釣り応え、食べ応え十分のグッドサイズだ

交通の便がよいため電車釣行派にも人気の「渡辺釣船店」

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・横浜新山下「渡辺釣船店」
わずか数年前まで春はシーズンオフ、という認識だった東京湾のタチウオゲーム。
しかし、現在ではシーズンオフという言葉がなくなっているのが現状だ。
「やめている船も多いですけどね。お客さんの出足もいまひとつになりますが、うちではずっと狙い続けるつもりです」とは、横浜新山下「渡辺釣船店」の田中茂生船長。
取材時は近場の本牧沖に反応がなく、まずは久里浜沖で数狙いを展開した。
この前半戦だけで30本を記録した猛者がいるほどの食いっぷり。
しかし、数の差は大きく開き、サイズも小型が多かった。
ともあれ全員が釣果を得てから型狙いに挑戦。
前回の出船ではドラゴンサイズが船中で10本登場した、というから期待に胸を膨らませての釣りだったが、取材日はスローな展開。
ときおり4本指クラスが登場するが、期待の110㎝、120㎝というサイズは顔を見せない。
最後の最後に117㎝というドラゴンが登場し、この日の釣りを締めてくれた。
アングラーは藤井さん。
ジグのウエイトを80gに軽くしてフォールで食わせた、というから、してやったり、というところだろう。
東京湾のタチウオゲームは5月からより安定感を増してくるはず。
季節もよし。気軽に楽しめる釣りとしてジギングデビューにもおすすめだ。
以上の記事は「つり丸」2022年5月15日号の掲載記事です。
つり丸の最新号 2022年5/1号 (発売日2022年04月15日)、電子書籍(デジタル版)は税込み600円。今なら初回500円割引やレビュー500円割引もあります!また、定期購読なら割引あり!
一年を通して期待できる走水沖