ラスト取材は久比里からシーズンオフ 気味の気まぐれカワハギ狙いに
23年の歴史に終止符を打つつり丸。
「最後の取材はお好きな所で」との編集部の計らいで、う~むと悩んだ結果決めたのは久比里「巳之助丸」のカワハギ。
読者の皆さん的には旬のネタではないかも? だが、個人的に思い入れのある船宿、釣り物ということで決めさせてもらった。
安定した釣果を得ている下浦沖からスタート

釣行日は4月25日の月曜日。
カワハギ乗合の釣り人は13人。私はポカリと空いていた左舷トモ2番に釣り座を設けた。
定刻に出船し平作川を下って向かった先は下浦沖。
「鴨居や竹岡も釣れるけど、ここのところ下浦が一番安定しているから」との選択で、昨日もトップ19枚の釣果だったとか。
「水深は20mですよ」のアナウンスで釣りを開始する。
この日は快晴ベタナギの釣り日和。
春の海のたりのたり…の静かな海で気持ちが良いが、カワハギからのコンタクトも控えめな静かなスタートとなった。
普段以上に繊細で気まぐれのカワハギだが船内では良型も
この時期のカワハギは普段以上に繊細で気まぐれ。
アタリは小さいし、活性の高い時なら狙ったエサは最後まで齧り取る執着を見せるが、この時期は気に入らないとすぐにエサから離れてしまう。
あきらかにカワハギというアタリが出てもコツン! の単発で終わり、仕掛けを上げてみるとワタだけ齧られていると言うことも多いのだ。
特にメスにこの傾向が強く、時にはハリ掛かりした後もあまり引かず、外道かな? で上げてみたらカワハギだったなんてこともある位だ。
朝の一流し目は空振るも二流し目で左舷ミヨシ2番、右舷胴の間と2枚が釣れ上がった。
型は20cm級のまずまずサイズだ。
続いては右舷トモ寄りで25㎝オーバーの良型も上がった。
その後は右舷側ではポツポツ、一方左舷側はなかなかアタリが出ない。
なかなか釣れないが、試行錯誤が難しくも面白い
私に初アタリが出たのは1時間ほどしてから。
しかもなかなかハリ掛かりせず、ねちっこく細かい誘いを入れ続けなんとかハリに掛けたのだが、こいつは掛けてすぐに食い上げて、ヤツと知れるコモンフグだった。
その後も右舷ミヨシ側を中心にポツポツと釣れるが、私にはアタリすらない。
9時半過ぎにようやく20cm級を釣ったが、船中で顔を見たのが一番遅かったのでは? と思われた。
とにかくアタリが少ない中、上で大きく誘ってエサを見せ、ゆっくり下げて行ってゼロテンでフワフワと静かに誘う、を飽きずに繰り返すのだが、たまにアタリが出ると(ホントにたまになので)反射的に手が動いてしまうこともあり、なかなか食い込みまで持って行けない。
じゃあとアタリが出てもじっと我慢でそのままにしていてもやっぱり食い込まず、どうやったら掛けアタリに持って行けるの? と悩ましいが、その試行錯誤が難しくも面白い。
そのうちに仕掛けにまとわりつくようなカワハギの気配を感じることが多くなる(といっても30分に1回あるかないかだが)。
気配を感じてからは「離すな~!食い込め~!」と念じながら、これまで以上に慎重に静かな誘いを心掛け、アワセもほぼ勝手に食い込んでくれるのを待ってゆっくり聞くだけ、これで何枚か追釣することが出来た。
この時点ではこれが正解だったのかな? とも思えたが、釣れたのはほんの2、3枚なのでなんとも…。
狭いポイントもあるのか時には投入から5分もしないで移動の合図、船1隻分動かして再投入の合図なんてこともある位、船長は細かく探ってくれる。
下浦沖の底質は砂地が大半だが、所々根や岩盤があるようで、オモリから伝わる感触が硬質な所もある。
ここまでは根周りと判断してもアタリが少なかったこともあって、基本ゼロテンでの釣りを通していたのだが、13時過ぎもしや? と思い2mほど上の宙の釣りを試すと、なんとカツッ! と割とハッキリとしたアタリが出るではないか。
そのまま静かに誘い続けるとガガッ! と素直に食い込み、良型のオスが上がった。
その後15分ほどして同様に良型のオスを釣りに至り「パターン見つけたり!」だったが、やはりそう上手くは行かず、その後はまたダンマリ。
それでもまた30分ほどして同じく宙ダナでこの日自身最大の26㎝を釣って、良い気分でこの日の釣りを締めくくることが出来た。
竿頭は右舷ミヨシ氏で18枚、続いて左舷ミヨシ2番氏が15枚と続いた。私は9枚でダブルスコアの大差にはギャフンだが、色々と実りの多い釣行でもあった。
釣れたカワハギは良型揃いなこともあってか予想以上に肝パンで驚いた。
なかには盛期のものよりも大きな肝を持った個体もいて、良い意味で期待を裏切られ釣り味だけでなく食味も楽しむことが出来た。
さてさて2000年から22年もの長きにわたり駄文を書き続けさせていただきましたが今回が最後になります。
その間たくさんの方々と出会い色々な経験を積ませていただいたことは、良き思い出であり心の財産でもあります。
今までお世話になり本当にありがとうございました。
これからももちろん釣りは続けますので、またどこかの船上でお会いしましょう!
【東京湾・久比里沖~剣崎沖】カワハギ 釣行レポート

カワハギの目の前にエサをもっていくテクニックが必要

貴重な1枚を取り込んでほっと一安心

こんな時期でも一荷がある

大判がでた
エサ取り名人攻略を目指そう!


コモンフグもエサ取り名人

今回、取材にご協力いただいたのは、神奈川・久比里「巳之助丸」
桜が散りうららかな春本番を迎えると、カワハギは産卵の準備に入る。
活性は低く気まぐれ度はよりアップ。
コンタクトは少なくたまのアタリも極小、しかも気に入らないとすぐにエサを食うのを止める、名手が釣っても15、6枚、ツ抜け出来れば上出来と、一年でもっとも難しい時季とも言える。
そんなときにも足繁く通う釣り人を「変態カワハギ師」「M(マゾ)釣り師」などと呼ぶとか呼ばないとか。もちろん誉め言葉(?)である。
周年カワハギ乗合船を出す久比里の「巳之助丸」はそんなカワハギ師達で賑わっている。
「釣り場は今のところ(4月下旬現在)下浦沖が一番安定していますねぇ。本来この時期は鴨居沖や久里浜沖から下浦沖そして剣崎沖へと群れが下がって行くものなんですが、最近は下浦沖で止まることが多いように思います。今年は水温が落ち切らなかったから余計そんな感じですね」とは「巳之助丸」で常時カワハギ乗合を担当している臼井浩喜船長。
この時期のカワハギは激しく動くエサを追うことは少なく「じっと待っ ているだけですよ(笑)」と言う名手もいるくらいだが、無論そう一筋縄では行かない。
誘いのパターン、スピード、そして食わせの間。試行錯誤で釣った1匹はいつも以上の価値がある。
「難しいのが面白い」そう思えたら、あなたも立派な変態カワハギ師だ。
以上の記事は「つり丸」2022年6月1日号の掲載記事です。
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