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釣る前に、食べる前に、アカナマダという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、アカナマダという魚を知ろう!

アカナマダ(アカマンボウ目アカナマダ科アカナマダ)たぶん国内で発見された個体数はそんなに多くない。しかもほとんどが浜に打ち上げられた個体である。

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アカナマダ(アカマンボウ目アカナマダ科アカナマダ)の生態

博物館級の珍魚。ボクの所にきたのは奇蹟だ!!

北海道南部、新潟県佐渡・糸魚川、富山湾、兵庫県浜坂、山口県萩、男女群島西方沖、青森県尻労沖、岩手県宮古沖、小笠原父島、相模湾、紀伊半島、土佐湾、鹿児島県錦江湾、宮古島。太平洋全域の沖。

以上は生息域ではなく魚類学的にわかる範囲の標本のとれた場所でしかない。

ある意味、国内での発見例の羅列だ。たぶん国内で発見された個体数はそんなに多くない。しかもほとんどが浜に打ち上げられた個体である。あえていえば、食べたことのある人は数えられるくらいだと思っている。
 
本種に関してはわからないことだらけだ。彼の有名なシーボルトが長崎周辺で採取してオランダに持ち帰ったことは間違いない。

研究記載したのはテミンクとシュレーゲルだ。一生に一度出合えるか出合えないかという珍魚以上の珍魚なので、見つけたシーボルトがいかに強運の持ち主かがわかる。

標準和名の出所はわからない。

江戸時代後期の医師で本草学者の、栗本丹州が作った、国内で揚がる奇っ怪な魚の図譜、『異魚図賛』に絵だけを残しているが名前がない。

「なまだ」はウツボのことなので、赤いウツボという意味だが由来は不明だ。

アカナマダの値段は?

もちろん市場に来たことはない。

アカナマダの寿司…珍魚中の珍魚。コレ食べていいの?

五月の連休を目前にして、知り合いの魚類学者からケータイが。

「問い合わせの件でいろいろ調べてみたんですけど、中毒例はありません。大丈夫みたいです」
 
?何を問い合わせたのか、記憶にない。

メッセージにして頂いたら、人生最大の収穫、人生一度クラスの珍魚のことだった。
 
ちょうどその頃、古希を前にしたたかさんが、突然、死ぬまで死にたくないとか、長生きしたいと言い始めて、「得体の知れないものは食べない宣言」をしたのだ。

そんなに心配ならと、そのとき届いたスーパー珍魚の中毒例のあるなしを問い合わせていたのだ。

それから四ヶ月かけて、ちゃんと調べてくれていたとは、ちょっとだけだけど感動する。
 
それは去年の十二月の話。岩手県の漁師さんが見たことのない魚を釣り上げた。

それが我が家にやってきた。その珍魚の一部を持って『市場寿司』へ。「タチウオつけてよ」と何気なく、たかさんに渡したのだ。

「タチウオにしては幅があるね」

「今回のは神龍級だからさ」

「それにしてもでかすぎるだろ」
 
大きな塊を前に、不信感が顔に浮かんできているのが見て取れる。

「タチウオじゃないな」と感じたらしく、一向に下ろそうとしない。

やっと下ろし始めたら、「腹から黒い墨が出てくる」

「タチウオはね、体に墨をため込む器官があって、外敵に襲われたときに墨を吐いて逃げるんだ」とは、もちろん嘘、タチウオはタコのように墨は吐かない。

いやだというのを無理矢理つけてもらった握りが素晴らしかったのだ。

体幹部分(胴)の味は少しタチウオに似ている。脂があって味に奥行きがある。

鰭の真下の鰭を動かす筋肉を、すしの世界では縁側というが、これなど信じられないくらいのうまさだ。
 
うまそうに食べていたからか、たかさんも一かんつまむ。

「神龍うめーなー」
 
タチウオは神龍サイズでも幅十五センチ前後だから、今回の幅二十センチ以上がタチウオだったら歴史に残る。

今回の魚は岩手県宮古沖で、タラ釣り漁師さんが釣り上げたアカナマダという巨大な魚だ。
 
この魚、国内で数年に一度見つかるかどうかという珍魚中の珍魚。

我が家に来たこと自体が奇蹟そのものなのだ。

そんなに珍しい博物館級の魚を食ってもいいのか? と言われそうだけど、食べてしまったものは仕方がない。

ちなみに本種の仲間に毒を持つ魚類はいない。実際、それから四ヶ月たっても、二人はぴんぴんしていて、ますます元気。

たぶん一生に一度食べられるかどうかの魚から、パワーをもらったのだ。
 
たかさんにこの話をしたら、

「考えてみると世界中で一人か二人しか食べてないって魚、何度も握ってるよね。オレは不死身だな」
 
暮れから四月にかけて、釣り師の皆さんからいろんな魚をいただいた。

四月になって銭州で釣れるウメイロ、ホウライヒメジのうまさを再確認した。

銭州通いをする市場の釣り名人、クマゴロウに向かって、たかさんが「梅ちゃん好き好き」などとウメイロラブコールを送る。
 
近所の釣り名人、蛸さんには伊豆網代沖のユメカサゴをいただいた。

これもつけてもらったら、こちらは脂が豊かで絶品。

一緒につまんだ、たかさんがうれし涙にくれていた。
 
考えてみると、釣り人の皆さんにすしダネをいただくようになって、いろいろ勉強させてもらった。

たかさんも、すしダネに対する考え方が大いに変わってしまったようだ。

人生色々というけれど、リュウグウノツカイの何倍も珍しい魚がボクの所にきた、そんな奇蹟が、本コラムにも起きるといいな。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

以上の記事は「つり丸」2022年6月1日号の掲載記事です。

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