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釣る前に、食べる前に、マサバという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、マサバという魚を知ろう!

マサバは、スズキ目・サバ科に分類される魚の一種。全世界の亜熱帯・温帯海域に分布する海水魚である。

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マサバ(スズキ目サバ科サバ属)の生態

日本列島近海。世界中の亜熱帯、温帯域の水深2〜150メートル前後に生息。
東シナ海では小型をローソクサバ、やや成長するとギリ、ナンキンなどと呼び名が変わる。一般的ではないが漁業の世界では出世魚なのである。「サバ」の語源は、歯が非常に小さいので「小歯(さは)」が変化したとされるが、実は「斑葉魚」で「笹の葉のようで小さな斑紋が散らばる魚」からきているともされる。
イワシとともに我が国の魚食の基本となったもので、浜辺だけではなく、「焼き鯖」、「塩鯖」などになり、山間部まで送られて貴重なタンパク源となった。当然、安くておいしい魚の代表的なもの。このイメージを変えたのが大分県佐賀関町の「関さば」。釣りあげて、活け締めにしたもの。釣り師はもっともっと古くからマサバの生の味を知っていたが、この美味を世間に知らしめて、マサバの価値を一気に引き上げた。

マサバの値段は?

現在、釣りもののマサバは高級魚である。「関さば」などのブランド物は超高級魚。師走には釣り物で1キロあたり5000円の値がつき、新年でも3000円以上。だいたい500グラム〜1キロ前後で1尾1500円から3000円はするので、釣り師の方々は釣ったら活け締めで持ち帰ろう。

「マサバ」の寿司…甘いとかうまいでは表現できない、そんな味

晴天の午後、日が陰ると『市場寿司 たか』の店先の温度計は急速に針を左に傾け、摂氏十度前後になった。この寒空に冷えたビールをあおり、近所の食堂で作ってもらったカキフライを食べていた。オヤジ二人の体温は急速に失われていく。

店はしめたが、迎えに来るはずの、たかさんの妻がなかなか来ないのだ。

「たかさん、カキフライうまいな。あと十個追加しようか?」

そこに通りかかったのが、ベテラン釣り師の浅やん。釣り具満載のバンに大きなネギの束を運ぶ。

「なんだよー、こんな寒い場所でビール飲むと、脳の血管が切れるよ」

「明日、あんたの店(そば店)休みだろ、それなのにネギかい」

「これは頼まれもの。明日アジ釣りに行くからねー」

さて、翌日の午後、浅やんからケータイ。「あのさ、サバで鍋できるかな」というので、島根県名物の「へか焼き(すき焼き)」を教える。

すき焼きの下地で薄切りにしたサバの切り身をしゃぶしゃぶ、野菜はなんでもよし、なのだが欠かせないのがコンニャクの薄切り。

さて、この翌日に『市場寿司』に寄ったら、見事なサバが二本。

「教えてくれたお礼だって」

それにしても見事なサバだ。梅の花が一輪咲き、もうゴマサバの時期だろう、と思っていたら、まだまだマサバががんばっている。

「たかさん、あら捨てないでね」

と言って市場で買い物。最近、『市場寿司』があるような、地方の市場の衰退がはなはだしい。ボクの憩いの場所であった薬屋さんが店を閉じてしまった。八百屋も一軒なくなり、住宅地に残る貴重な昭和が風前の灯火のように思える。

『市場寿司』にもどると、さっそく生の握り。これが、あれっ、と思うくらいに淡泊。シコシコとした食感に感動できるものの、物足りない。

「たかさん、意外に味ないね」

と言った途端にじわじわとうま味がきた。舌にのせるとすぐに感じる甘さ、うま味というのがあるが、それとはまったく別種のものだ。甘いとかうまいでは表現できない、そんな味。すし飯との相性も思ったよりいい。これならキロ一万円の関さばより上だ。間違いなく「相模湾のマサバは日本一!」なのだ。

「サバってのは偉いね。平凡だけど、実力がある。クエがいくらしようと、平凡な値段のサバに勝てないね。綾瀬はるかよりもうちの妻、なのよ」

「そりゃ、うちの妻より綾瀬はるか、だと思うな」

浅やんにサバのお礼のケータイをいれると、

「今回、アジよりもサバがよかったね。あんましまじらないけど貴重だよ。それとね、あんたにあげたヤツ、隣で釣ってた人のだよ。サバはいらないってから、オレのアジと二対二で交換トレードしたんだ」

さて、翌日の午後、遅い昼ご飯を『市場寿司』で食べる。当然、しめさばの握り。しめさばだって、いいサバで作った方がうまい。口に入れるとほろりと崩れるのは脂がのっているせいだろう。サバらしいうま味に満ちていて、感動的な味だ。

近所の食堂に、「汁はまだかい」と催促。やってきたのが、サバのあらで作った船場汁。昆布だしに短冊に切った大根とサバ、味つけは酒と塩だけ。これがまたうまい。

久しぶりに昼酒をやり、ほろ酔いに。店じまいして、たかさんの妻の迎えを待ち、またビールを飲む。

が、予定の時刻になっても一向に妻はやって来ない。しばれる八王子の午後の気温は摂氏八度。冷え切った頃に妻が「カラオケで歌い過ぎちゃって」と笑いながら迎えに来た。

「やっぱり綾瀬はるかに負けるね」

「いや、顔じゃ勝ってる」

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2013年3月1日号の掲載情報です。

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