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釣る前に、食べる前に、ヤリイカを知ろう!

釣る前に、食べる前に、ヤリイカを知ろう!

ヤリイカはヤリイカ科に属するイカの一種。北海道から九州までの日本列島沿海および、朝鮮半島・九州・中国上海周辺の3地域に囲まれた海域、すなわち黄海全域と東シナ海東部海域に分布する。

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ヤリイカ(ツツイカ目ヤリイカ科ヤリイカ属)の生態

北海道、本州、四国、九州近海に生息している。ヤリイカやスルメイカなどツツイカ類の体は円錐形であり、貝殻の痕跡であり、俗に「イカの骨」と呼ばれるものは薄いフィルム状。スルメイカのアカイカ科との違いは目を覆っている膜があるかないか。ヤリイカにはこの膜がない。
スルメイカのように年間を通して親イカがとれるのは、産卵期を違えた群れが存在するためだが、ヤリイカの産卵期は春のみ。春に生まれて秋頃に流通する小型のものを市場では「新いか」といい、これが徐々に成長して翌年には親イカとなる。ヤリイカは雄が大きくて雌が小さい。

ヤリイカの値段は?

ヤリイカは大きいものほど値が上がる。1杯200g前後だとキロあたり1500円ほどだが、300gを超えると急騰する。500gなどという超大型になると、キロあたり4000円を超えるので並のすし屋には手が出ないものとなる。さて今回の年明け最大のヤリイカの重さは350gほど。これくらいになるとキロあたり3000円前後もする。ということで1杯で卸値1050円だから高価である。冬の海の上でがんばって釣り上げたものが1杯千円札1枚と考えると、がんばれそう、とは打算的すぎるかな?

ヤリイカの釣行レポート

9月に開幕した駿河湾・石花海のヤリイカ。連日絶好調で、しかも非常においしいのが特徴だ。そんな石花海のヤリイカ釣りで使用する仕掛けは、プラヅノ11㎝のダブルカンナ仕様が定番。他のエリアと異なり、石花海でダブルカンナのツノを使うのは、イカのサイズが大きいことが最大の理由だ。

取材は長井漆山「春盛丸」。取材当日は潮が濁り、朝からスルメイカが活発に乗った。慣れた常連さんたちはプラヅノ14㎝で組んだ直結仕掛け、ヤリイカ狙いの人やビギナーはプラヅノ11㎝のブランコ仕掛けで狙う。

「まだムラがありますが、ようやく始まったという感じですね。これからどんどんイカが集まってくると思いますので、今後が楽しみです」と話すのは鹿島旧港「第十八不動丸」の加瀬秀和船長。

「ヤリイカ」の寿司…実に爽やかにうまい。ゲソがまたうまい!

八王子には大学が多い。受験シーズンなので、当然、受験生らしきが街にあふれている。ある昼下がり、常連さんだけになった『市場寿司』に母娘ふたりが入ってきた。

「閉店近いんであまりネタがないんですが、よろしいですか?」

ふたりが注文したのは「お任せ握り」。大皿に盛られて出てきたものはやけに白っぽい。

「イカが多くなってすみませんね」

「イカ大好きです」

「これはヤリイカですからうまいと思います。握りずしだと特上にしか使わないイカなんですよ」

二月に受験だという娘さんの方が生のイカゲソをつまんで、「めっちゃおいしい」というので、還暦オヤジのたかさん大いに張り切る。

ヤリイカの耳を「はーいオマケ」。

「イカって部分部分で味が違うんですね」に、まるで自分が仕入れたイカであるかのごとく、自慢話にふける。実はこの日のヤリイカは釣り師ナギさんの持ち込みである。

皿の上の握りを指さして、

「これが目の周辺の軟骨部分、それにゲソに、そっちが胴の部分」

「コリコリして美味しいです」

「そうでしょ。ヤリイカはどの部分を使っても美味しい握りになる」

隅っこにいた、ナギさんが、

「(意味なく立ち上がり)それ、私が昨日釣ったヤリイカでーす」

この一言で主役が入れ替わる。たかさんふくれ顔になる。まあどうでもいいことだけど、還暦過ぎの男にしてはわかりやすすぎると思うな。

「どうやって釣るんですか」

に、ナギさん語る、語る。エサはつけないでツノと呼ばれる擬餌針を使うこと。スルメイカも一緒に釣れること、などなどなど。

「イカって、イカっていう生き物だと思ってましたー」

母親がこんなバカなことを言う、

「すしダネになるイカだけでもスルメイカにヤリイカ、ケンサキイカにコウイカ、そしてイカの女王様アオリイカで五種類もあるんです」

「そうなんですね。勉強になります。おすし屋さんてカッコイイ!」

「イカしてるー、でしょ」

「……」(長い沈黙)

すべるに決まっている。「いかしてる」なんて団塊の世代の言語だ。この母親にして四十代はじめだろうから、知るわけがない。

美しき母娘が去った後の空気が、どよ〜んとよどんだことは言うまでもない。ナギさんが、そそくさと「またイカ釣ってきます」と帰る。

さて、釣り師の方にいただくのもそうだが、市場で見かけるヤリイカがどんどん大きくなる。寿命が一年なのだから、当たり前だが、大きくなるほど味がよくなってくる。

一月も残り少なくなり、スーパーにチョコレートがずらりと並んだ日。静岡県の魚屋さんからヤリイカをいただいた。この時期としては特大級の三百五十グラム級を三本。

これを昼過ぎの『市場寿司』に持ち込んで、昼ご飯にする。

これが実に爽やかにうまい。

「これ爽やかだね、たかさん」

「そうだね。江戸っ子がヤリイカ好きってのは、甘さがひかえめで、さっぱりした味がいいんだろうね」

「この前のナギさんのよりも甘味というかうま味が増してるね」

「大きさだろうね。このサイズからうちじゃー手が出ない値段になる」

締めのゲソがまたうまい。ビックリしたのは皮つきであること。スルメイカのゲソは皮を剥くけど、ヤリイカは剥かないのだという。

「ヤリイカのいいところは、季節感があることだよな。おれなんて、あと何年これ食べられるのかね」

「大丈夫だよ。たかさんなら後五十年以上生きてギネスに載るよ」

「ミシュランじゃないの?」

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2015年2月15日号の掲載情報です。

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