「幸栄丸」では鹿島沖で、ほぼオールシーズン、フグ釣りを行っている。スレ知らずの大型フグがムラなくコンスタントに釣れるぞ


鍋、唐揚げなど火を入れて食べると最高においしいショウサイフグ。さらにおいしく食べるために下船するまで、生かしておこう。

シーズン継続中。3秒に1度の軽い空アワセでフグ簡単ゲット!

小型のフグはほとんどまじらない。良型が数釣りできるのが鹿島沖の魅力である。

今回、取材にご協力いただいたのは、茨城・鹿島港「幸栄丸」。
「3秒に1回空アワセをしてください。基本はそれだけです」とは、鹿島港「幸栄丸」の荒原康宏船長。
「幸栄丸」は鹿島沖で、ほぼオールシーズン、フグ釣りを行っている。ポイントは北から南まで広範囲にわたり、スレ知らずの大型フグがムラなくコンスタントに釣れている。
外房エリアの船宿と同じく、釣ったショウサイフグを下船後、すべて捌いて棒身にしてくれるサービスも人気の理由のひとつだ。
「釣りのコツは空アワセだけど、思いっきり強くアワせるのではなく、スーと軽くシャクる程度で、十分フグにハリ掛かりします。だから、誰にでも簡単にできますから、ぜひ気軽に挑戦してみてください。ビギナー大歓迎ですよ」と、荒原船長が話すように、このフグ釣りは難しくない。
だが、釣果には顕著に差が出る。そこがこの釣りの奥深さであり人気の要因だろう。「空アワセ」の追求は、実にディープだ。
この釣りにどっぷりとハマってみるのもよし、グルメを求めて気軽に釣るのもよし、どんな理由であれ、一度この釣りをやれば、底知れぬ魅力にとりつかれること間違いなし。
この機会にぜひ、ショウサイフグ釣りに出かけてみてはいかがだろう。シーズンはまだまだ継続中だ。
専用竿がなければ、普段使い慣れた竿先の硬い竿でOK。エサはアオヤギ。カワハギ同様キモが大好きなフグ

船宿オリジナル仕掛けは遊動式だ。

エサはアオヤギ。ハリから外れないように付ける。

竿はフグ専用のものがベストだが、なければ竿先が硬めの竿を流用できる。
具体的には、カワハギ竿、カレイ竿、バスロッド、マルイカ竿などだ。
使用するカットウ仕掛けのオモリは25〜30号。これをしっかりとシャクれるものならなんでもよい。
リールは小型両軸リール。道糸はPE1〜3号。できればこの太さの範囲で細いほどいい。根掛かり時の道糸の高切れも想定して、150m収納しておくとよい。
仕掛けは、25〜30号オモリのカットウ仕掛け。市販のものか船宿仕掛けを使用しよう。事前に用意するのであれば、最低でも3組あれば安心だ。
市販品にはさまざまなものがあるが、注意する点は、カットウバリが大きすぎないことと、オモリのカラー。
カットウバリが大きすぎると、フグの掛かりが悪くなるという。
オモリのカラーは大事だ。好奇心旺盛のフグを寄せる目的なら、派手目のものがいい。水色が濁っているときや暗いときは、夜光系のカラーが集魚効果があるという。
エサは、パックされた冷凍のアオヤギが主流。ほとんどの船宿でエサは用意されている。その他、食用のエビも使えるが、集魚効果の強いアオヤギさえあれば、十分だろう。
カットウ仕掛けに付けるエサはアオヤギだ。
このエサの役割は、「集魚」。カットウ釣りでは、仕掛けを見てもらえばわかるとおり、食わせて掛けるのではなく、エサで寄せてカットウバリで魚を“引っかける”のである。
だから、エサ付け用のハリには、アオヤギをたくさん付ける、が基本だ。
貝の身の大きさにもよるが、基本は2〜3個。小さいものは4つ付けてもよい。
フグはカワハギ同様、ふだんはエサ取り魚。貝のキモの部分が大好きだ。だから、キモをかならずハリに付けるようにする。
付け方は、これといって決まりはないが、キモや管を縫い刺しにして最後に硬いベロで止める。
ようするに、簡単に外れなければいいという。
もちろん、カワハギ同様、ベロから縫い刺ししてキモで止めてもよい。
魚の活性が高いときは、エサが付いていればなんでもよいが、逆に活性が低いときは、フグが好むキモで集魚効果を出すために、キモが食われてなくなっていればエサは回収のたびに付け替えたほうがいい。
なお、アオヤギは手に匂いがつくので、必ず手ふき用のタオルを持参しよう。
その他、必ず用意しなければならないのは、ハサミとプライヤー。
プライヤーは、魚からハリを外すときに使う。フグは歯が鋭いのでとくに注意しよう。
ますは“空アワセ”をマスターする。フグが掛かるときの水中イメージを理解する

「アワセはそんなに強くシャクらなくてもいいんだよ!!」と荒原船長。

「スーっと軽くメリハリ付けてシャクってください」。


「フグ釣り初めての人には、オモリが底に着いたら、3秒おきに空アワセをしてください、ってアドバイスします」とは、鹿島「幸栄丸」の荒原康宏船長の弁。
たったこれだけで簡単にフグが掛かるという。
ここで大事なのは“空アワセ”だ。静かにエサに忍び寄る、いや、釣り人に悟られないようにパクパクとエサを食べているであろうフグがいることを想定して、アワセを入れてカットウバリにフグを引っかけるのだ。
素早く逃げる魚を引っかけるのだから、「エイっ」と力強く竿をシャクリあげてアワせると考えている人が大半だと思う。だが、最近のカットウ仕掛けはよくできていて、荒原船長は、
「スーと軽くシャープにシャクれば、フグは掛かりますよ。イメージ的には、オモリを底から10㎝跳ねあげれば、十分ハリ掛かりしますよ」という。
船長の説明からもわかるように、多くの人が電撃大アワセをしているのだ。
この“空アワセ”をマスターすることが、フグのカットウ釣りの第一歩になるのである。
釣り方は大きく分けて2通り。平場と根周りで釣り分ける

フグはゴボウ抜きで取り込む。


さて、釣り方だが、大きく分けて2通りの釣り方がある。それは、根掛かりするか、しないかで釣り方が異なるのだ。
まずは、平場。いわゆる、根掛かりの少ない砂場や砂利場では、仕掛けを沖目にキャストして広範囲に探る釣り方が主流。
底釣りがベースで、キャストしてオモリが着底したら、すぐに糸フケをとり小さく手前にシャクル。
オモリが着底したら、シャクリあげた分リールを巻き、3秒前後待ってから、小さく手前にシャクる。これらの一連の動作の繰り返しで、沖目から船下まで探り釣りする方法。
「手前にシャクる」動作も空アワセになるが、竿先に「モゾモゾ」とフグの魚信も伝わってくることが多い。これが、アタリだ。
アタリが出たら、空アワセより若干強めにアワセを入れる。
そこで掛からなかったら、すぐに底ダチとりして、空アワセ釣りを続行する。エサが残っていれば、エサに対する執着心の強いフグは再びそのエサを追うハズだ。
ただし、アタリが出た場合は、エサがすべて食われてなくなっていることも多いので、早めに回収してエサチェックすることも覚えておこう。エサがなくては釣れないぞ。
次は、根掛かりする根周りを釣る場合。もちろん、ポイントの海底がどのような性質かは、船長がアナウンスしてくれる。どちらかといえば、仕掛けのロストがあるので、こちらのポイントの釣り方に気をつけたい。
仕掛け投入は船下へ。オモリ着底後、すぐ糸フケをとり、底から50㎝あげる。そこで、3秒おきの空アワセを入れる。
根の起伏が激しいところは、底上1mまであげてもいいという。
これはカワハギ釣りでいういわゆる「宙」の釣り。アタリはオモリを底に付けているときよりも出やすいので、竿先にちょっとでも違和感を感じたら、アワセを入れよう。
以上、フグのカットウ釣りの基本をざっとおさらいした。応用ももちろんある。まずは基本の空アワセ法をマスターし、それから、カワハギと同じく、タタキによるアピールやゆっくり動作の巻き上げまたは落とし込みの誘いなどは現場で実釣しながら学ぶとよい。
とにかく、フグ釣りは体験してみることが大事。習うより慣れろ、でおいしいショウサイフグを引っかけに行きましょう。
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夜明けから釣り開始だ。