序盤は良型主体も、これから数に期待


常連の佐久間さんは5点掛け達成。

肉厚で甘みもたっぷりなヤリイカ。味も抜群にいいぞ。

朝イチはスルメが多いことも。こんなときに仕掛けのセレクトで釣果が変わってくる。

今回、取材にご協力いただいたのは、千葉・乙浜港「信栄丸」。
南房総エリアのヤリイカはこれから最盛期を迎える。早いときは秋から釣れだすが、ここ最近の本番は年が明けてからだ。
「今シーズンは全体的にサイズが良かったよね。あんまり小型がいなかったからね」とは、乙浜港「信栄丸」の安田仁船長。サイズがいいときはどうしても数が伸びず、いいひとで30杯前後が続いた。もちろん、良型ばかりだとこの数でも満足できるが、数釣りという観点からは少し物足りないところか。
「年が明けてからは小型のメスが入ってきましたよ。これを追って大型のオスが入ってくれば本当の最盛期ですね。大型まじりで数が釣れるようになります」
南房エリアのヤリイカポイントは広大だ。一言で白浜沖といっても、西は布良沖周辺、東は和田沖あたりまでポイントとなる。また、沖の潮の影響を受けやすい場所のため、潮の流れや水温の変化があると突然スルメイカの群れが入ってくるのもこのエリアの特徴だ。真冬だろうと群れが来れば狙う。もちろん本命はヤリイカだが、スルメが釣れる場合はスルメも狙う。このため、このエリアで最大限に楽しむためにはどんな状況にも対応できる、臨機応変さが必要になってくる。
準備をしっかりとして楽しもう。
スルメがいる場合は2タックルが理想

ハイパワー小型電動リールがおすすめ。

仕掛けはプラヅノ11cmが基本だが、スルメイカが多い場合は14cm、18cmと準備しよう。

これからの南房のヤリイカは、ヤリイカオンリーのときもあれば、朝はスルメ、後半はヤリイカのとき、さらにはスルメオンリーのときだってある。ある程度、直近の釣果を見て判断はできるが、当日の状況に合わせたタックルで挑みたい。
1タックルだったらヤリイカ専用タックルを持参すればいいが、スルメが釣れているようなときは、2タックルを持参するのが理想だ。
ヤリイカタックルは、1.7〜2m程度の先調子ヤリイカ竿に、PE3〜4号を300m以上巻ける小型電動リールを組み合わせる。最近のヤリイカはラインの強度が上がっているので、PE3号を使用する人が多くなっている。竿は確実にアタリが察知できる穂先感度の優れたものをセレクトしよう。慣れない人ほど先調子の竿を使用しよう。深くなって小型が多いようなときは、アタリがなかなか取れないからだ。やはりヤリイカ専用ロッドがほしいところだ。
スルメイカタックルは、1.3〜1.5mの直結用ロッドに、PE4号300m以上巻ける電動リールを組み合わせる。スルメイカばかり数乗るようなときは、ダイワなら500番、シマノなら3000番以上の使用が安心だ。
オモリは150号を使用する。中オモリやヨリトリリングはヤリイカのみ狙う場合はあってもなくてもいいだろう。もし付けていて乗りがわからないときは外してもいい。直結仕掛けのときはあると仕掛けの扱いが楽になる。
●仕掛け
①ヤリイカのみ乗るとき…通常のヤリイカ仕掛けはプラヅノ11㎝5〜8本程度のブランコ仕掛け。カラーはブルー、ピンク、ケイムラほか、オレンジやグリーンなどまぜてもいいだろう。赤白の糸巻きスッテやプラヅノは効果があるのでぜひ1本まぜておきたいところ。
②ヤリイカ狙いでサバが多いとき…プラヅノ11㎝5〜10本ほどの直結仕掛けに。使用するプラヅノはブランコと同様に、幹糸は8号前後、間は1.3mほど。
③ヤリイカとスルメがまじりで釣れる場合…プラヅノ14㎝5〜8本のブランコ仕掛け(サバが多いときは直結仕掛けでもOK)。
④スルメメインで釣れる場合…プラヅノ18㎝5〜10本のブランコ仕掛け(数乗るとき、慣れた人は直結仕掛け)。
あらゆる状況を想定すると、かなり持参する仕掛けが多くなってしまうが、これが釣果をわけるので、できるだけ種類をそろえていこう。
慣れていない人でも、最低限11㎝ブランコ仕掛けと14㎝ブランコ仕掛けは持参しよう。
誘いでアタリを出し、アタリを取って掛ける

アタリをしっかりと取って乗せていこう。

赤白ガス糸巻きプラヅノやスッテは必ずまぜておこう。

ヤリイカも多点掛けすれば重量感はたっぷり。

この日はサバが多く直結に分があった。ヤリイカのサイズがいい場合は直結もおすすめだ。


●基本の釣り
ヤリイカ釣りの基本は誘ってアタリを出し、これを察知して掛けていくことだ。
仕掛けが着底したら、ここから勝負が始まっている。特に、アナウンスがあってからの最初の投入は、反応を見て合図が出るのでイカがいる可能性が高い。着底して糸フケを取るのと同時に竿先をしっかりと見ておこう。この時点で竿先が「ツンツン」とか「フワフワ」と動いていたらそれはすでに乗っている証拠だ。軽くアワせてやろう。まず、最初はこの着底直後に集中しよう。
乗りがなかったら次は誘い。最近主流の誘いは、竿を頭上いっぱいまで振り上げて、その状態から下段まで一気に振り下ろす。仕掛けが上から下に落ちていくイメージだ。落とし込んだら竿をストップさせて、アタリが見やすいようにしてやる。ここでアタリが出ればすぐに竿を持ち上げて軽くアワせてやる。
この誘いを繰り返してはアタリを出していく。誘い上げて頭上で止めてアタリを見る場合もある。どちらで出るか見極めよう。
探る範囲は、もし船長から「10mほど」などと指示があればその範囲を探るが、何もなければ海底付近のみでOK。たまに底を取り直して同じ動作をしよう。
しばらくやって乗りがなければ電動で一気に数十メートル巻き上げ、再度落としてみよう。自分だけ乗らないときなどはこれで乗ることも多い。
●広く探る場合
ヤリイカは、多くの場合は海底付近のみで乗るが、ときに浮くこともある。こんなときに浮いた群れに仕掛けを持っていければ自分だけ乗るなんてこともある。シャクリながら上げていくのは結構大変なもの。こんなときは、低速に電動を入れ、ただ巻きしていく。このときも竿先をしっかりと見ておこう。乗りがあった場合は、竿先に小さくても必ずアタリが出る。これを見つけたら軽くアワせよう。
●追い乗りをするには
毎回1杯ずつ確実に乗せるのもいいが、水深が深くなると1回の往復に時間がかかる。こうなると1回で何杯乗せられるかで釣果が大きく変わってくる。できるだけ1回の投入でたくさんのイカを乗せたほうがいいに決まっている。それには追い乗りが重要だ。最初の投入はいきなり多点掛けの可能性が高くなるが、その他のときは自分で狙って追い乗りさせてやる。
そのためにはまず最初の1杯の乗りを確実に察知すること。1杯乗せたら軽くアワせておく。黙っていても乗るようなときは、そのままゆっくり手で10mほど巻いていく。これで追い乗りを狙う。
もうひとつは、乗っている状態からさらに竿を上下させてツノを踊らせて掛けるというもの。ブランコ仕掛けの場合、ある程度のイカの重さがあれば軽く誘ったくらいでは外れない。ただし、あまり長時間続けると外れるので、様子を見ながら巻き上げよう。
電動の巻き上げスピードはリールの機種によっても変わるが、15〜20ほどと早めの巻き上げを推奨したい。バレると思ってゆっくり巻くとかえってバレることも。直結の場合は20以上のスピードが通常だ。
以上の記事は「つり丸」2018年2月1日号の掲載情報です。
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北本茂照さんは良型の4点掛け。「このサイズだと直結も乗り応えがあって楽しいね」。