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釣る前に、食べる前に、イシダイという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、イシダイという魚を知ろう!

イシダイは、スズキ目スズキ亜目に所属する魚類。イシダイ科の魚類はすべて海水魚で、南アフリカ・日本・オーストラリア南部・ハワイ諸島・ガラパゴス諸島・ペルーなど、インド洋から太平洋にかけて幅広く分布する。日本の沿岸からはイシダイ・イシガキダイの2種が知られている。

イシダイ(スズキ目スズキ亜目イシダイ科イシダイ属)の生態

日本各地、台湾、ハワイ諸島。浅い岩礁域に生息し、巻き貝や甲殻類などを補食している。南日本には成魚もいるが、北に行くほど小型(子供)だけになり、親が少なくなる。
イシダイは東京での呼び名。小型のときには横縞がくっきりしているので別名シマダイ(縞鯛)と呼ばれている。またこの縞模様が伝統芸能・三番叟のときにかぶる縞模様の烏帽子に似ているのでサンバソウとも。大きくなるに従い縞模様は消え、代わりに口の周りだけが黒くなる。これをクログチとかクチグロなどという。横縞が7本ならぶのでシチノジ(七の字)とも。ハスという地域が多く、他にはタカバ、ワサラビなど地方名が非常に多い。

イシダイの値段は?

春から夏が旬となる魚で、暖かくなるにつれて入荷が多くなり、値段も上がる。鮮魚として流通するなかでも、もっとも高価な魚のひとつだが成魚は産卵後味が落ちる。そこへいくと年中おいしくて、成魚ほど値がつかないのがサンバソウである。安くはないが、高くもない。キロあたり1000円前後。200グラム前後で1尾200円と手軽だけど、味の方は重量級だったりして。

イシダイの釣行レポート

剣崎沖のコマセ釣りで狙うイシダイ五目がシーズンに突入した。この釣りにこだわる剣崎間口港「育丸」は、10月末ころからイシダイ五目に出船。最初は型を見る程度であったが、狙っていくうちに釣果は右肩上がり。待望の本格シーズンに突入したのだ。

「イシダイ」の寿司…すし飯との相性も良く、飽きない味だ

三月になったら、市場に並ぶ魚の種類が増えた。ある日、千葉県勝山から、イシダイの若魚がたっぷり入荷。仕入れ中のたかさんが、

「今日はイシダイが多いねー」

こんなことを言ったのがいけなかった。隣にいた、相模湾のベテラン釣り師、海老名の海老さんが、

「これサンバソウだい、イシダイじゃない。イシダイってのは……」

ケータイを出して、おもむろに見せたのが立派なイシダイである。

「これから江の島沖なんかで大きいのが釣れんだぜー。七十センチくらいあるから、引きが強くてさ」

七十センチに口の悪い居酒屋オヤジが、「嘘だー、それじゃイシダイの日本新記録だよ」。

店(仲卸)の片隅に三キロ上のイシダイもある。一キロあたり三千円以上なので、だれも手が出ない。そこでボクが思い切って一万円札を出す、我ながら格好いいな。

この一万円はジャンボ宝くじの当せん金である。宝くじで一万円は、喜んでいいのか、悲しむべきかわからないので、イシダイに化けていただく。清水買いのイシダイにいやが上にも期待が膨らむのだ。

さっそく『市場寿司』に持ち込んで下ろしてもらう。三キロ上になると、とても店内では下ろせない。店の前に台をおいて大まな板を渡しかける。さすがにプロ、身を断ち、骨に当たるとさくっと抵抗なく包丁が通る。三枚に下ろした身を触った、たかさんが首をひねり出す。

「おかしいな。脂ないよ」

あくまで自称魚通の釣り師、海老さんが「ダメだ、これ」。

味見に数切れ食べたら、まったく味がない。なんだか味つけしていないコンニャクを食べているようだ。

最近シニカルな海老さんいわく、

「イシダイのハズレってめったにないな。逆の意味すごい。今年は何か悪いこと起こるぞ、きっと」

確かに縁起が悪い。

「あのさ、これはどう?」

小皿に刺身が数きれ。

「これメバルかな?」

「違うよ、これのお子さん」

こっちがワイワイガヤガヤやっている間に、たかさん、ちゃんとサンバソウも仕入れていたのだ。

「見た目が地味だねー」

血合いが赤くなくてベージュなのである。これじゃー平凡すぎてなにがなんだかわかりはしない。

でも食べてビックリ。

「小さくてもうまい、とは思っていたけど、こーんなにうまいなんて、(ビックリしたな、もー)」

隣の海老さんがボクの口癖を横取りする。当たり前だけど、握りのほうも想像以上にうまい。

舌に甘みを感じるのは脂がのっているためだ。それに適度に食感があるのに、ほどよく噛み切れてすし飯との相性もいい。なんかん食べても飽きない味である。

「ネタには小型がいいのさ」

明日は早朝の旅立ちなので、昼寝をする。そこで冷蔵庫から宮城の大吟醸を出して、刺身でいっぱい。スダチに粗塩がなんともいい。大イシダイの頭の煮つけがまたうまい。これだけでも一万円の価値がある。

翌々日、島根県隠岐にある知夫里島に渡るため、七類港にいた。そこにたかさんからケータイが来て、

「あのさ、オレ、とってもアンデルセンだよ。あのでかいイシダイがビックリしたなー、もー。今日食べたらうまいというか、すごいんだ」

そうなのか、あの大イシダイは新しすぎたのだ。

でもとってもアンデルセンって? 船酔いの予感を感じながら考えると「醜いアヒルだと思っていたら実はとても美しい白鳥だった」ってことだ。あまりのくだらなさに大船酔いしてしまった。ゲー。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2012年4月15日号の掲載情報です。

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