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釣る前に、食べる前に、キビレアカレンコという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、キビレアカレンコという魚を知ろう!

キビレアカレンコは、スズキ目タイ科キダイ属の魚。 奄美諸島以南の琉球列島、小笠原諸島。フィリピン。水深50~150mの岩礁にすむ。

キビレアカレンコ(スズキ目タイ科キダイ属)の生態

奄美大島以南。台湾、フィリピンに生息。ここで大問題があって、それはアカレンコのこと。「黄鰭」がつく「赤連子」なのだから、当然本家アカレンコがあってしかるべきだが、実は種として正式には存在しないらしい。古くは小笠原諸島でとれるキダイをアカレンコとしていたものが消えてしまっているのだ。個人的意見ながらアカレンコは薄紅色で黄色みがない。それに対して本種は明らかに黄色みが強い。これだけ違うなら別種でいいのではないだろうか?
沖縄宮古では「まーだい(真鯛)」でもっとも当地で普通に見られるタイという意味合い。八重山、鹿児島奄美大島の「れんこだい」はキダイの別名で、沖縄本島の「ふかやーまじく」の意味がわからない。

キビレアカレンコの値段は?

鹿児島県奄美大島でも、沖縄でもタイ科の魚は決して安くはない。いちばん高いのはタイワンダイでそれに次いで高価である。卸値で1キロあたり1500円くらい。1尾500グラム前後なので、1尾750円くらいはする。本州に住んでいると安いな、と思うかも知れないが、沖縄は物価が低いので、これでも十二分に高級魚である。赤と黄のタイがお祝いなどに使われる鯛。この赤黄を前種制覇するのもおもしろそう。

「キビレアカレンコ」の寿司…品良く美味、これぞ白身の握りの理想型

我が家の周りは花盛り。そこに薄緑色の新芽が吹き出してきた。春爛漫、途端に各地からタイの便り。兵庫県明石からは明石鯛が届いた。そして島根県からは豊漁ですと、キダイが一箱届く。島根県隠岐のキダイは三十センチ近い大きさ。刺身にし、ワカメと薄味で煮て、友と集い、満開の八重桜の下で飲む会津の酒が、まことに美味だ。「ああ、幸せだな」なんて思う。

キダイをたっぷり『市場寿司 たか』にも持っていったら、「おー、当分、白身を仕入れなくてすむよ」とたかさんもご満悦。せっかくなのでキダイを、皮霜造りで握ってもらう。これがメチャうまい。

ちょうど市場で働いているオバちゃんが、昼ご飯に五倍盛りちらしを食べに来たので、たかさんが余分に三切れのせて出したら大絶賛。

「島根から来たキダイだよ」

「とてもおいしいです。皮に甘味がありますよね。後二きれ追加してくださーい。タイの仲間ですか?」

と聞くので、これは体が黄色みを帯びているので「黄ダイ」。一般的なタイは、今食べている黄色いキダイの仲間と、マダイなどの赤いタイの仲間のこと。黄色いタイというのは分類学的な話で、一般的には黄色も「赤いタイ」の部類だと考えられているのだ、と教える。

蛇足だが、国内で取れる赤黄のタイはマダイ、チダイ、タイワンダイ、ヒレコダイ、キダイ、ホシレンコ、キビレアカレンコの七種。釣り人の方々は、この目出度い鯛七種を全部釣ると、釣り界にひとつの金字塔を立てた、ということになるはず。

その翌週には近所の釣り人が、ライトタックルで釣ったというハナダイをくれた。その上、同じ週に鹿児島から来たのがキビレアカレンコという、もっとも南に生息するキダイの仲間。なんと旬日の内に「目出鯛」が四種も立て続けにきた。まるで次々に咲く花の如くである。

「これはキダイじゃないからね。奄美大島、沖縄でしかとれないキビレアカレンコだからね」

と、念を押してたかさんに渡すと、あっという間に下ろして、皮の方に熱湯をかけて皮霜造りにする。これを肴に、会津の純米大吟醸をやり。「小腹が空いた」というと、焼霜造りにして握ってくれる。

握りがまた上等、まことに美味しい。すし飯との馴染みがよく、上品な甘味を残して喉に消えていく。なんとなくもの足りなく感じて、もう一かん食べたくなるのは白身の握りの理想型だ。昼下がり、たかさんがのれんを外して、ノンアルコールビールをぐいっとやりながら、

「これ、ただのキダイじゃない。関西でいうところの『れんこ』だろ。この前の島根のと、味おんなじだね。『れんこ』の上いらないよ」

「そうかな、こっちの方が皮に厚みがあるし、その分風味が強いよ」

「あのー、これこの前のキダイと、ちょっと味が違うと思いまーす」

話に割り込んできたのが、遅い昼ご飯を食べていた五倍盛りのオバちゃんである。

「うるさい、お前のような大食いにこの繊細な味の違いがわかるか」

「たかさん、やっぱり皮の風味という点では同じキダイの仲間でも、微妙だけど違いがあると思うな」

翌早朝用にボードに向かい、「キダイ」と書いているのを見て「しっかり正式名称で書きな」と言うと、

「八文字は長すぎ、省略、省略」

押し問答していたら突然、

「ボクも正式名称で呼んで欲しい。まだ若いのにオバちゃんはイヤだ」

三日にあげず並盛りと同じ六百円で、五倍のすし飯に、五倍のネタをのせたちらしを一気食いするオバちゃんの正式名称は「尾花沢」なのだという、どうでもいいか…。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2014年5月15日号の掲載情報です。

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