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釣る前に、食べる前に、マダイという魚を知ろう!

釣る前に、食べる前に、マダイという魚を知ろう!

マダイは、スズキ目スズキ亜目タイ科に分類される魚類。北海道以南から南シナ海北部までの北西太平洋に分布するが、奄美群島・沖縄諸島沿岸には分布しない。漁獲量は東シナ海・瀬戸内海・日本海の順に多く、太平洋側では南ほど多い。

マダイ(スズキ目タイ科マダイ属)の生態

北海道全沿岸から九州南岸の日本列島周辺。東シナ海、中国、台湾に生息。古くは北海道ではめったにとれない魚であったが、最近では珍しくなくなっている。また奄美大島から沖縄本島周辺でも希にとれる。
 旬は秋から麦の刈り入れ時の初夏までと長い。ただし春になると個体ごとに味のばらつきが出る。築地場内でマダイを年間を通して大量に扱っている目利きがいるが、意外なことに春の産卵期のマダイを珍重する。脂はやや落ちているが、うま味が豊かだとのこと。「麦わら鯛」は初夏の産卵後のマダイのこと。「桜鯛」は桜の咲く時期のマダイの味のよさをいう。ただし桜が散っても、まだまだうまいマダイはいる。マダイは骨が強く、武張った姿から武家の祝い事に欠かせなかったという。五月の節句にマダイの塩焼きというのもいいかも。

マダイの値段は?

残念ながら春のマダイはあまり高くない。これは日本全国でまとまって水揚げされるためだ。また雌よりも雄の方が高い。これは築地など関東の市場では真子よりも白子を珍重するためだ。春の高値がつくマダイは1.5㎏前後の重さで雄であること。このサイズだと1㎏あたり卸値3000円前後はするので、1尾で卸値4500円ほどになる。

マダイの釣行レポート

「今シーズンはサイズがいいよね。掛かれば良型が多いですよ」 鹿島港「義心丸」の大森誠船長はこう話す。例年、鹿島沖のひとつテンヤマダイはお盆過ぎに開幕するが、今年は1ヶ月ほど早く釣れだした。500gクラスの小型の数釣りをしながら時折、大ダイが掛かるという展開がこの時期の特徴だったが、今シーズンは数釣りではないものの、キロオーバーがほとんどだという。そして、5㎏、6㎏といった大ダイのヒットも多い。

南房・西川名港を基地とする「竜一丸」は、季節ごとに看板釣り物をかえている。現在はコマセマダイだ。ざっと、年間の釣り物をあげると、7月〜12月までマダイ。1月〜2月はヒラメ&ハタ、3月〜7月がイサキだ。

秋はマダイ釣りの好シーズン。各地で好釣果が聞かれるが、外房・大原沖のテンヤマダイも好釣果が記録されている。 「秋は浅場で中小型の数釣りが楽しめますが、大型も期待できますよ」と話すのは大原港「LT広布号」の野島幸一船長

「マダイ」の寿司…ただただ、旨いとしか表現できない。それほど旨い

春爛漫ののどかな朝、『市場寿司』に旅の土産を持って行ったら、珍しいことに若い女性がカウンターに三人もいるではないか。「夢じゃないよな」と目をこすっても、たしかに若い、しかもかなり美しい女性が、たかさんの前で笑っている。

「鯛やイサキの舞い踊りと言いましてね。春においしいのはこれと、これなんです。ああ、そうだトラギスもいたんだ。こいつ見た目は悪いけど、食べたらうまいの」

六十路もなかばを過ぎたオヤジが若い娘の色香に声を裏返しているのは、かなりみっともなくないだろうか。ただ、若い女性が店内にいるだけで華やぐのはいなめない。

大トロまで入った豪華すぎる握りを、あっと言う間に平らげて華やぎの素が帰って行った店内の、暗く沈んだ空気感はなんだろう。

「うちは、三十代以上の女性は入店禁止にしちゃおうかな」

「すぐつぶれるね」

ネタケースを見るとトラギスにマダイ、イサキにマアジと、あきらかに釣り師ネタが並んでいる。

「最近、みんながマダイ釣りに通っているようだね」

半身の大きさからするとマダイは五百グラム前後のようだ。気になったので握ってもらう。

「思ったよりうまいね。ほんのり甘味があるし、すし飯との馴染みもいい。この大きさでこの味はすごい」

「おれも驚いたんだ」

市場で働いている、釣り師の殿様が持って来たのだという。ちなみに「殿様」と呼ばれているのは、見た目からではなく、魚が触れないのでお供が必要であるためだ。「これ三大夫、苦しゅうない、ハリをはずせ」と言っているかどうかは知らないが、釣り師的には失格だ。魚を下ろすのは、たかさんの役目だ。

ちなみに相模湾、東京湾のマダイは全国的にみても味がいい。例えば築地場内でいちばんの高値をつけているのも相模湾産なのだ。

数日後、今度はボクの生まれた徳島県から鳴門産のマダイがやってきた。重さ一・五キロの上物である。

旅の前なので、大急ぎで『市場寿司』へ持ち込み、握ってもらった。皮を引いた普通の握り二かんに、皮に湯をかけた皮霜造りを二かんだ。

「これが有名な鳴門鯛か、初めてだけど、さすがだね。白子抱えてて脂は少ないけど、うま味が強いっていうか、味に奥行きがある」

確かに口に入れた途端に甘味ではなく、うま味が舌に感じられて、後から甘味がくる。甘味も脂からくるものではなく、身自体の味わいとしての甘味だ。自分の生まれた県のマダイがこんなにおいしいなんて、実にうれしいし、実に幸せな気分だ。

そのまま島根県への旅に出た。帰宅して、またお土産を持って『市場寿司』に行くと、またまた、たかさんが若い女性を相手に「タイやヒラメの舞い踊り」なんて言いながら、握りの盛り合わせを作っている。

「若い女性がいると店が明るく華やかになるんだ」などと思っていたら、マダイの握りとお茶が来た。

「それSさんが釣ってきたやつ」

これも相模湾のマダイだ。口のなかに放り込んだら、ただただ、うまいとしか表現できない、それほどにうまい。しかも後味がいい。

「どう? 鳴門鯛よりも上だろ」

「うーーん、難しいな。どっちもうまいけど、やっぱり鳴門かな」

「まあ、生まれたところだから、ひいきする気持ちはわかるけどね」

二人で仲良くもめていると、店にいた鮮魚店のおかみさんが、

「おらの故郷なんて海がねえっから、自慢も出来ないっぺっ」

「中禅寺湖があるじゃないですか」

ということで、今回は鳴門産に軍配を上げることに、したいな。

◆協力『市場寿司 たか』
八王子市北野八王子綜合卸売センター内の寿司店。店主の渡辺隆之さんは寿司職人歴40年近いベテラン。ネタの評価では毎日のようにぼうずコンニャクとこのようなやりとりをしている。本文の内容はほとんど実話です。

文責/ぼうずコンニャク
魚貝研究家、そして寿司ネタ研究家。へぼ釣り師でもある。どんな魚も寿司ネタにして食べてみて「寿司飯と合わせたときの魚の旨さ」を研究している。目標は1000種類の寿司を食べること。HP『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』も要チェック。

以上の記事は「つり丸」2017年5月15日号の掲載情報です。

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